食事処だるま

曽於市末吉町で39年間営業を続けて来られた【食事処だるま】さんが、令和6年4月30日をもって、閉店となった。店主の樋口康子さんは84歳になられて、まだまだ続けたい気持ちはあるが、後継者がいないことと体調のことを考えて、閉店を決意されたそうだ。閉店の2日前に、地元のFMラジオ局の番組に出演した際に、これまでご利用頂いた方々に、感謝の気持ちを放送で語られた。すると、ラジオを聴いて初めて閉店の事実を知ったリスナーさんや、かつての常連さん達から、閉店を惜しむメッセージや思い出話や感謝のメールなどが多数届いたそう。それらを受け、樋口さんは涙が出て、言葉を詰まらせたシーンもあったそう。樋口さんは、「これまで本当にありがとうございました。」と心を込めてラジオで感謝の気持ちを語られた。

店主の樋口康子さんは、ご自身の過去を振り返ると、波瀾万丈な人生だったと語る。50年位前からの話をしてくれた。

曽於市出身のご主人と大阪で出会われて結婚し、そのまま大阪で暮らすと思っていたが、ある日ご主人が故郷に帰り、実家の畜産を後継すると決断。大阪出身の樋口さんは、鹿児島行きをすぐには決断ができず、先にご主人だけが鹿児島へ転居したらしい。しばらくはご主人と別々に生活をされていたとのこと。その後、樋口さんも鹿児島行きを決断し姶良市に住み、8年間お好み焼き屋を経営。その後、いよいよご主人の地元の曽於市末吉町に転居し、この時から【食事処だるま】を経営。
やはり初めはこれまでやって来たお好み焼きを焼いて生計を立てようとしていた。しかし、粉物のお好み焼きだけでは経営が苦しかった。どうしたらと悩んでいたら、地元の方や常連さんが、お酒の飲める店にしたらと意見を下さり、もつ鍋料理を始めたり、お酒を出したりしたら、成功した。

周りの方々のアドバイスがあったり、ご近所の方や企業さんや市役所の方々まで多くの方々が利用して下さったお陰でここまで来れたという。

3階建ての食事処

3階はビアガーデンになっていて、50席ほどの広さ。かつては、繁盛していたとのこと。

2階は大広間の宴会場

2階にある3つの部屋は、広々と使える便利な作りなので、きっと色んな団体さんが利用して来られたんだろうなぁ…と思う。

2階席は60人ほど入る広さ

鍋料理をゆっくり楽しめる憩いの空間だったんだと思う。ここには色んな思い出が詰まっているんだろうなぁ。

のれん

年季の入ったのれん、今日まで本当にお疲れ様でした!!
そして、のれんのある部屋に飾ってあった12年前の新聞に掲載された記事を、樋口さんが見せてくれた。

自家製の牛もつ提供

食事処だるま

もつ鍋のもつは、店主の樋口恭子さん(72)の夫で牛の肥育農家郁雄さん(73)が育てた黒毛和牛を使っている。地元の食肉処理外車に出荷した牛のホルモンを買い取って提供する。畜産のまちならではの地産地消の店だ。具材のキャベツ、タマネギも自家製。みそ、しょうゆベースのあっさり風の特製だしが素材を引き立てもつがしみ込んだスープはラーメンにも最適。おにぎり、旬の野菜を使った小鉢が付いて1人前2千円。

平成25年(2013年) 5月30日(木) 16面 南日本新聞社

波瀾万丈な樋口さんですが、やっぱり素晴らしいご夫婦です。

畳縁までだるま

1階も2階も、畳の縁はすべてだるま。だるまに対するこだわりも素晴らしい。

だるま車

これまで、たくさんのお弁当を運んできた配達車。
地域の食を支え、お客様へ幸せを運んで来た車。この車ももう走ることが無くなると思うと寂しい。

これまで、【食事処だるま】は、39年間の歴史の内25年間、樋口康子さんとお二人の女性店員さんで頑張って来られたそう。皆さん、お疲れ様でした。

地元の名店の閉店に、惜しむ声が多い中、閉店を決断された樋口さんの気持ちを思うと、今後の幸せを応援したい。ご主人やお仲間と、ゆっくりと過ごされて欲しいと願う。ありがとうございました😊

投稿者プロフィール

あげあげ
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

大隅半島在住のあげあげです。
大隅半島と食べるのが大好きです。

色んな方々との出会いに感謝しながら、
毎日食べ歩いております。
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