添乗員免許を持っていて、ツアーの現場からも鹿児島観光の在り方を考えている清永です。
今回は別の企画を考えて前取材で動いていたところ、シェラトン鹿児島さんから非常に興味深いお話しをいただいたので、取材に行ってきました。
なんでもシェラトン鹿児島のフレンチシェフたちがフランス料理の日本大会を突破して世界大会に駒を進めたとか。
フレンチシェフ界の驚くべきお話しも伺う事ができました。

シェフ紹介
<東園 勇樹プロフィール>
ふと目についた料理雑誌がきっかけで飲食の世界へ飛び込み、鹿児島のホテルやフランス料理店で12年間修業を重ねたのち、2017年に一念発起し渡仏。1つ星を獲得した「ラ・カシェット」や、「フレデリック・シモナン」など、本場の名店で研鑽を積む。帰国後は鹿児島市のレストラン「HIGHLINE」のシェフに就任。QUARTERSグループ総料理長を歴任後、2023年にシェラトン鹿児島 スペシャリティレストラン「FLYING HOG GRILL」の料理長に就任。”お客様と生産者をつなぐ架け橋になる”をテーマに日々研鑽中。
2025年アルスノヴァ国際創作料理賞 日本予選にて「FLYING HOG GRILL」第1位を受賞。

<池之上 哲平プロフィール>
父親の影響で料理の道を志し、鹿児島県の専門学校「今村学園ライセンスアカデミー」調理2年コースを卒業後、アラン・シャペルに憧れ、2014年 神戸ポートピアホテルへ。イタリア人シェフのもとで3年半イタリア料理を学び、その後同ホテルのフレンチレストラン「Trente et Un(旧アラン・シャペル)」へ異動し、フランス料理の技術を磨く。2019年には、フランス リヨンの二つ星レストラン「La Mère Brazier」で研修。2023年にTrente et Unの副料理長に就任。
2025年第21回 メートル・キュイジニエ・ド・フランス“ジャン・シリンジャー杯”日本大会にて優勝。

驚愕!フレンチシェフの世界
世界大会で腕を磨く鹿児島のフレンチシェフたち

本日は宜しくお願いします。
私がフランス料理大会の世界に馴染みがないのでいろいろ教えて欲しいのですが、これは毎年開かれる大会なのでしょうか?

私が参加したアルスノヴァ国際創作料理賞は1年に1回開催されます。
毎年お題が変わりまして、前回が鴨で今回が鹿でした。

私が参加したメートル・キュイジニエ・ド・フランス
“ジャン・シリンジャー杯”は2年に1回開催されます。

大会参加にあたってご苦労されたところがあったら教えて下さい。

前回も同コンクールに出場し、2位だったんです。もう絶対リベンジしたいという事で、大会が終わった後からすぐに付け合わせなど考え出しました。
1年くらいかけて今回の勝利を勝ち取ったわけではないですが、 その辺の苦労は少しありました。

ジャンシリンジャー杯は、予選があって準決勝があって決勝があってと過程が多いんです。応募から今回の勝利まで期間を数えると7か月間過かっています。
予選は書類でレシピ審査があって、それを通過したら準決勝になるんですけど、その間ずっといろんなことを考えますね。
コンクールというのは終わりがなく、ずっと満足しないので、完成しても「もっともっと」となってしまう。ずっと考え続ける。嫌ではなく楽しいのですが…。
やはり一番きつかったのは、その準決勝から決勝の期間が 2ヶ月半くらい。
お題が駒を進める度に変わるので、その間でメニュー作成からやらなくてはいけません。
時間がタイト過ぎて、やっぱりすごく周りに頼りましたね。寝ても 夢の中で考えてるぐらい、考えても間に合わない。やはり東園さんも一緒なんですけど、すごく考えてるんですよ。大会期間中はさすがに眠たくはなりますね。

お2人の参加される大会なんですが、日本全国予選としてはだいたい何名ぐらい参加されるものなんですか?

ジャンシリンジャー杯なんですが、コロナ禍でだいぶ減ってしまって、今年は約60名でした。
元々は29歳以下と、年齢制限なしというのが、 1年で交互にあったのですが、アンダー29が無くなり、応募者数が少なくなったので、 2年に1回だけ。それまでは120名ぐらいでした。

アルスノヴァ国際創作料理賞は何名出てるかは、全て伏せられています。 何名出てるかは分からないのですが全国から出てるとは聞きましたね。
その中、今回入賞した3名中、東京が2人と鹿児島が1人でした。
世界の第1線で勝負するフレンチシェフが考える鹿児島食材のポイントとは?

少し話がズレますが、鹿児島の食材を使う中で、 気を付けている事や食材の魅力を引き出すポイントがあったら教えていただけますか?

鹿児島の食材、あまり足し算し過ぎない様な…。
引き算じゃないですけど、 その素材の良さを引き出すという観点で料理をしています。
ニンジンにしても『あまり手を加え過ぎずにゆっくり焼き上げたものを提供するような…』 という意識でやっております。

素材の良さを引き出すというのは考えますけど…。
僕がコンクールに参加した時も審査員に言われたのが、 「足し算し過ぎだ」とか「味を足し過ぎている」とか、 「何の相乗効果も起きていない」といった事は言われて、 まだそこまでの技術というか、 経験と言うか、 僕もまだまだなので、 理解したいです。
2025年1月16日(金)に特別ディナーイベント開催(予約受付終了)

コンクール入賞を機会に開催される、 1月16日の特別ディナーイベントについて教えて下さい。

メイン料理を担当します。
今回のコンクールでのお題が鹿ということで、 鹿をイベントでも使用します。
少しアレンジしたものにはなるのですが、鹿の良さとか、 そこをお客様に感じてもらいたいなと。
なかなか鹿を食べる機会がないと思うので…。
美味しいんですよ、意外と。

僕は魚料理を担当しますが、 コンクールの準決勝は魚のお題だったので、ソースなどをコンクールに寄せているのと、 デザートもまた別のパティシエのシェフに依頼はしていますが、コンクールの分量や味を再現して、また形が変わったものを出す予定です。

最後に鹿児島の方に向けてコメントをいただけますか?

シェラトン鹿児島では、いろんな鹿児島の食材を使用しています。
お客様がほとんど知らないような食材を使っていますので ぜひ1度お越しいただければなと思います。
1度ではなく、何度でも。

外資系ホテルというのもありまして、海外のお客様もいらっしゃるのですが、もちろん日本の方も全国からいらっしゃいます。
やはり鹿児島の良さというか、そういったものをアピールしていきたいですね。
あと僕がコンクールに出ている理由も、鹿児島を盛り上げたいとか、 鹿児島のアピール、全国に繋がりができるというか…。
そこで鹿児島の凄さや鹿児島の良さに気付いてもらうとか。
そういう点も含めて、もちろん地元の鹿児島の方にも再認識していただきたいなという。
あとシェラトン鹿児島はもちろん知名度を上げていきたいので、ぜひ足を運んでいただければと思います。

本日はありがとうございました。
取材後記
すぐ身近にこんなにスゴイ世界があったのか!?と驚かされました。
さらに、この記事を制作している最中に特別ディナーイベントの申し込みもあっさり定員に達してしまい(結構早めに制作していたつもりなのですが…)、知っている方は知っていた世界なんだなと2度驚かされました。
最近SNSや動画サイトを見ていると、全国規模で数多くのファンに支えられているクリエイターが首都圏から情報発信をしているかと思いきや、実際は鹿児島在住という方をぼちぼち見かける様になってきました。
こういった方々がもっと鹿児島のPRに絡んでいただけると地域活性につながるのでは?と思います。
※ご好評につき満席となりました。
<受賞記念特別イベント概要>
FLYING HOG GRILL料理長・東園の「アルスノヴァ国際創作賞」日本代表選出および、Daily Social洋食料理長・池之上の「メートル・キュイジニエ・ド・フランス“ジャン・シリンジャ―杯”」日本代表選出を祝し、両名による特別コースを堪能できる美食イベントを開催します。
【開催場所】シェラトン鹿児島 2階 宴会場 Ball Room
【開催日時】2026年1月16日(金)
住所:鹿児島県鹿児島市高麗町43-15
TEL:0998-21-1111
ホームページ:https://www.marriott.com/ja/hotels/kojsi-sheraton-kagoshima/overview/
