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誰もが参加できる伝統行事?三島村竹島の盆踊り2025

誰もが参加できる伝統行事?三島村竹島の盆踊り2025

お盆といえば、盆踊り。町の広場や神社の境内で、浴衣姿の人々が輪になって踊る姿は、日本の夏の風物詩のひとつですよね。太鼓のリズムに合わせて歌いながら踊る光景に、どこか懐かしさを感じる人も多いのではないでしょうか。でも、鹿児島県の三島村にある竹島の盆踊りは、そんなイメージとは少し違います。踊りの種類や歌の歌い方、そして参加のルールまで、島独自の伝統が色濃く残っているのです。今回は、竹島の盆踊りの独特な魅力と、地域の人々が大切に守る文化の一端を紹介します。

「日本の夏の風物詩」とは一味違う、竹島の盆踊り

盆踊りと聞くと、町の広場でみんなが輪になって踊る、あのイメージを思い浮かべる人も多いかもしれません。

そもそも盆踊りは、先祖の霊を慰め供養するために踊られる行事。

その点では、他の地域の盆踊りと竹島の盆踊りとは共通しています。でも、竹島の盆踊りは他の地域とは異なる点もたくさんあります。

例えば、初盆の人がいる場合は盆踊りが2回!

8月13日に踊った後、15日に初盆の人の家でも踊る風習があります。

初盆を迎えた人の家で踊り、その後はその家でお酒や食べ物がふるまわれていたそう。

ちなみに今は準備も大変なので、最後の家の人だけがふるまいを準備する形になっているようです。

竹島の盆踊りに参加してみた!

お盆はなかなか竹島にいることがなく、実は盆踊りをしっかり見た経験がほとんどなかったのですが、去る8月13日、竹島の盆踊りに参加したのでそのときの様子をレポしてみます。

前日に盆踊りの練習が行われる

竹島の盆踊りが開催されるのは、8月13日の夜。

前日の12日の夜には、踊りの練習が行われます。

一般的な盆踊りって、あまり練習することないと思うのですが、竹島の盆踊りはしっかり練習があるんです。

その理由は、踊りがかなり独特で3種類もあるから。

とはいえ、厳しく指導するみたいなことではなく、流れを確認していくイメージ。

実際は「見よう見まね」で踊る感じです。

今年は、島民だけでなく島に遊びに来ていた人やボランティアで来ていた大学生も参加。

踊りの前にみんなでお酒を飲みながら歓談タイム

盆踊りは20時スタートだったのですが、その前に竹島青年会からお酒と食べ物がふるまわれました。

台風で中止になったみしまカップ用に仕入れていたお酒や食べ物を提供。

外で飲むビールはおいしいですよね!

みんなでお酒を飲みながら、夏祭りっぽい雰囲気も楽しみます。

今年は竹製の毬も飾られて、おしゃれな雰囲気に。

踊りの前に仏さまに手を合わせる

日がだんだんと沈み、踊りの始まる20時が近づくと、踊り手は浴衣に着替えて準備。

踊りの前に仏さまに手を合わせて祈りを捧げます。

仏さまはあいあい会館の2階のこの扉のなか。

もともとはお寺があってそこに仏さまが祀られていたのですが、今はお寺がないので仏像のみをこの場所に安置しているそう。

唄い手の声に合わせて盆踊りスタート

まずは1曲目から。

盆踊りらしく輪になって踊ります。

個人的に、竹島の盆踊りの最大の特徴って、唄にあると思っています。

だいたいの人が想像する唄と違って、抑揚があまりなく、歌詞の内容(というか言葉)もよくわかりません。

そのため、今島にいる唄い手ってほんの数人しかいない。

このまま唄える人がいなくなると、伝統舞踊の存続も危ぶまれます。

2曲目は、輪ではなく四角になって踊ります。

3曲目は、再度輪になって。

掛け声もかけながら、割とにぎやかな踊りです。

今でこそ、1曲数分の踊りですが、昔はもっと長くて一晩中踊っていた時代もあるそう。

少しずつ時代に合わせて変化する竹島の盆踊り

3曲の踊りが終わると、まさかのアンコールタイム笑。

どの踊りをアンコールするか、オーディエンスに聞いてもう一度踊ります。

アンコールタイムでは、島の子どもたちや観光で訪れていた人たちも輪に加わり、場はさらににぎやかに。

竹島の盆踊りはもともと男性のみで踊られていたのですが、今回はボランティアで来ていた女子大生も参加。

昔ながらの踊りの型を守りつつ、誰でも参加できる開かれた雰囲気が生まれていました。

伝統行事というと「変えてはいけないもの」と思われがちですが、竹島の盆踊りは少しずつ時代に合わせて柔軟に変化しています。

男女の区別や参加者の制限が緩やかになったことで、より多くの人が踊りの楽しさや文化の魅力を体感できるように。

こうして少しずつ形を変えながらも、島の人たちが大切に守り続けてきた踊りの精神や歌の伝統はしっかりと息づいています。

伝統と時代の調和が生み出す、竹島ならではの盆踊りの魅力だと感じました。

伝統を未来へつなぐ竹島の盆踊り

長い歴史を持つ伝統行事でありながら、時代とともに少しずつ変化を重ねている竹島の盆踊り。

男性だけが踊る時代から、今では女性や子ども、観光で訪れた人々も参加できるようになり、誰もが楽しめるお祭りへと進化しています。

踊りや歌の型は昔ながらのものを守りつつ、参加の形や雰囲気は柔軟に変化している。このバランスこそ、伝統行事を長く続けられる秘訣なのかもしれません。

投稿者プロフィール

やまざきたかこ

鹿児島市から三島村竹島に移住して11年目。 竹島で唯一の商店「竹のいえ」で店長代理しながらWebコンテンツ制作&ディレクションをメインに、Instagram運用のビジネスオンラインスクール講師もやってます。 合同会社Kurumirai代表。

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