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被災地に思いを馳せるセレモニー「第15回ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」

2011年3月11日14時46分。
三陸沖、宮城県牡鹿半島の東南東約130km、深さ約24kmを震源とする大地震が発生した。宮城県栗原市で震度7を観測し、宮城・福島・茨城・栃木・岩手・群馬・埼玉・千葉と、広い範囲で震度6を記録した。

当時、わたしは百貨店で美容部員として化粧品の販売をしていた。午後の休憩中、休憩室でたまたま目にしたテレビの映像で、ただごとではない事態が起きていることを知った。実は、母方の親戚が岩手に住んでいる。慌てて母にメールをすると、「おばあちゃんと連絡がとれないの」と返ってきた。
すぐに従姉妹にも連絡を入れた。「おばあちゃんも、わたしたちも無事だよ」という返信を受け取ったとき、心の底から安堵したことを、今でもはっきりと覚えている。もちろん、そのことをすぐに母にも伝えた。祖母の家は宮城寄りの地域にあり、周囲の塀が崩れ、家の中のタンスも倒れるなど、かなり悲惨な状態だったそうだ。近所の親しい人たちと、避難所で数日を過ごしたと、後日母から聞いた。

あれから15年。月日が経つにつれ、東日本大震災の記憶は、少しずつ私たちの日常から遠ざかりつつある。きっと、それは多くの人にとっても同じなのかもしれない。

そんななか、毎年3月11日の発生時刻に合わせて、被災地への祈りを捧げるセレモニー「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」が開催されている。今年で15回目を迎えるこの取り組みは、実は鹿児島から始まったものだ。今回、実行委員のメンバーに、その歩みについて話を伺った。

「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」のはじまり

今年で15回目を迎える「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」。その始まりは、2011年3月12日に開催予定だった、まったく別のイベントだった。本来は、九州新幹線全線開業を盛り上げるため、鹿児島中央駅一番街商店街では、観光客のおもてなしの一環として企画されていたという。

しかし、その前日に東日本大震災が発生。イベントは中止となった。そして翌年、2012年3月11日に、にぎわいを生むための「イベント」ではなく、被災地に祈りを捧げる「セレモニー」として、「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」が開催されることになった。

セレモニーは、毎年14時30分に開始される。地震が発生した14時46分には、被災地に思いを馳せながら黙祷を捧げ、14時47分からストリートピアノで『ふるさと』『花は咲く』を演奏。参加者が一緒に歌う、という流れだ。

第1回目は、鹿児島中央駅一番街商店街、霧島市の国分パークプラザ、鹿屋市のリナシティかのやの3か所で開催された。現在では、自らの防災意識を高める日という意味合いも加え、鹿児島県内にとどまらず、11道県23会場へと、その輪は広がっている。

会場に設置されているストリートピアノは、「ストリートピアノプロジェクト」によるものだ。各家庭で使われなくなったアップライトピアノを譲り受け、地元の中高生がペイントを施し、商店街や集客施設に常設する。ピアノをきっかけに、街にコミュニケーションを生み出す取り組みでもある。

また、セレモニーの最後には募金の呼びかけが行われている。この募金は、被災地にストリートピアノを贈るために使われてきた。これまでに、宮城県南三陸町さんさん商店街、宮城県名取市ゆりあげ港朝市協同組合メイプル館、岩手県大船渡市防災観光交流センター、熊本県上益城郡山都町の道の駅そよ風パークの4か所に寄贈されている。

▲宮城県南三陸町さんさん商店街
▲熊本県上益城郡山都町の道の駅そよ風パーク

15年続いた理由

なにごとも、始めることより、続けることのほうが難しい。

「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」が15年ものあいだ続いてきた理由を、初期から関わる運営メンバーに尋ねてみた。

「1年に1回の開催だから、続けられたんだと思います。毎年、秋ごろになると、運営メンバーのあいだで自然と『そろそろ準備しないとね』という声が上がるんです。それに、毎年このセレモニーを心待ちにしてくれている人たちがいることも、大きいですね」

毎年、日本各地で地震や水害などの自然災害が起きている。そのニュースに触れるたび、「何か力になりたいけれど、どうしていいかわからない」と感じている人も多いのではないだろうか。

セレモニーの参加者の中には、1年間コツコツと募金のためにお金を貯めてきた親子もいるという。「災害が起こるたびに募金したい気持ちはあったものの、どこに、どう託せばいいのかわからなかった」という思いを抱えていたそうだ。

また、過去に被災地へボランティアに行ったものの、想像以上に過酷で、数日で帰らざるを得なかったという人も、このセレモニーに参加しているという。もしかすると、心のどこかに後悔が残っていたのかもしれない。黙祷を捧げ、被災地に思いを馳せる時間が、その人の心を少し救った。そんなこともあるのではないかと感じた。これは、あくまでわたしの想像にすぎないけれど。

15年続いてきたこのセレモニーには、運営する側だけでなく、参加する一人ひとりにも、それぞれの物語がある。運営する人たちの思いと、参加する人たちの思い。その両方が重なり合ってきたからこそ、この取り組みは今も続いているのだろう。

第15回ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニーは、23ヶ所で同時開催される。鹿児島は、以下の場所で開催される。

鹿児島市 鹿児島中央駅一番街商店街アエール
     鹿児島トヨタ モビリティスクエア
霧島市  国分パークプラザイベント広
     霧島市こども館
鹿屋市    リナシティかのや1階
枕崎市       枕崎お魚センター2階
指宿市       えぷろんはうす池田
奄美市       AiAi 広場
湧水町      JR 九州栗野駅
阿久根市  にぎわい交流館 阿久根駅

3月11日(水)14時30分からセレモニー開始。会場によっては、防災講座が開催されるので、ぜひ、足を運んでください。

投稿者プロフィール

上村 ゆい

ヨガインストラクター×ライター。どちらかというと身体が硬めのヨガインストラクターです。その人に合ったレッスン内容を心がけているので、老若男女問わずレッスンを受けていただいています。ヨガレッスンは、出張ヨガがメイン。趣味は、美味しいものを食べること。ライターとして鹿児島のいろいろなことをを発信していけたらと思います。

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