奄美群島は豊かな自然と独自の文化を持つ世界自然遺産でありながら、年間80万人が訪れる観光地でもあります。
しかし過去を遡るとかつて「地獄」と呼ばれた時代が存在するのです。

「黒糖地獄」と呼ばれた時代や、奄美群島が戦後7年間アメリカ統治だったことをご存じでしょうか。
沖縄と鹿児島に挟まれた境界に存在する奄美群島の複雑な歴史を振り返ります。
琉球国による統治
15世紀ごろ、奄美群島は琉球国(現在の沖縄県)による侵攻を受け統治下に置かれました。
間切りという行政単位(現在でいう市町村)が導入され、笠利・名瀬・古見・住用・屋喜内・東・西の7間切りが設置。
この地名の一部は今も残っています。
さらにノロ祭祀と呼ばれる村落を統治するために琉球国で行われていた祭祀も実施されました。

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ノロとは琉球国王から任命される女性の神職であり、人々の無病息災や豊穣を祈ります。
祭祀は平成中期まで行われていました。
薩摩藩による統治
1609年、琉球国は薩摩藩によって侵攻・制圧され、実質的に薩摩藩の支配下になりましたが、公的には独立国家として存続させられました。
その際、琉球国の統治下にあった奄美大島は琉球国から薩摩藩へ割譲されますが、こちらも公的には琉球国領を装いながら実際は薩摩藩の直接支配下に置かれることとなります。
薩摩藩が琉球国を完全に征服しなかった理由は、当時琉球国が清国(現在の中国)皇帝の臣下という立場にあったためです。
清国との対立関係を回避するとともに、朝貢貿易の恩恵を受ける目的がありました。
奄美群島における「黒糖地獄」

奄美群島では税収確保のため稲作農業が整備されていきましたが、1747年の「換糖上納令」により米の代わりに砂糖が納められるようになりました。
本土で砂糖は高値で取引されていたためです。
さらに1830年「惣買入制」により個人での砂糖の売買が禁止され、米などの物品と交換で藩が砂糖を買い入れる制度がはじまりました。
次第に食料としての穀物の栽培も禁止し、サトウキビだけのプランテーション(単一作物の大量栽培)化を進めます。
藩による買い入れもとても適正とは言い難い安値で、住民が砂糖を食べることさえ禁止し上納を徹底することで島民の貧困は一層進みました。
その様相はまさに植民地的支配でした。
奄美群島は当時財政難であった薩摩藩の重要な財源確保の地であり、のちに「黒糖地獄」とも称される藩による搾取はしばらく続きます。
明治時代
明治時代になると廃藩置県によって薩摩藩は鹿児島県へと変わりました。
それでも鹿児島県による砂糖の独占売買は続いており、商社解体などの運動もありましたが、新たな独占販売商社の発足など、戦後になるまで島民は厳しい暮らしを強いられました。
一方で大島紬、カツオ漁、林業など他産業が成長した時代でもあります。
戦後アメリカ統治時代

1941年太平洋戦争が開戦し奄美群島も戦争に巻き込まれていきます。
1944年には悪石島周辺で疎開船「對馬丸」が魚雷を受け1500名が亡くなりました。
翌1945年には大空襲に見舞われ、名瀬市街地の90%を焼失する惨事となりました。
終戦後の1946年、トカラ列島、奄美群島、沖縄諸島は日本本土から行政分離され、米軍政府下におかれることとなります。
日本本土への自由渡航はできなくなりパスポートが必要になりました。
米軍からの配給物資や予算は不十分で島民は困窮していきましたが、同時に島民を元気づけようと歌やスポーツ(相撲)が盛んになった時代でもあります。

「無血」と「非暴力」を掲げた特徴的な日本復帰運動が行われ、1953年12月25日、7年間続いたアメリカ支配が終わり奄美群島は日本復帰しました。

現代へ

少し特異な歴史を歩んできた奄美群島ですが、インフラ整備や奄美に根差した産業や文化の発展を経て、多くの人が訪れる豊かな土地になりました。
奄美にお越しの際は、少しだけ過去に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
奄美市立奄美博物館について

奄美の事が少しでも気になったのであれば奄美市立奄美博物館を訪れてみる事を勧めます。
ここでは沢山の資料とともに奄美の「自然・歴史・文化」を学ぶことができます。(2019年に展示全面リニューアル)
| 奄美市立奄美博物館 | |
| 住所 | 〒894-0036 鹿児島県奄美市名瀬長浜町517 |
| 開館時間 | 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
| 休館日 | 第3月曜日、年末年始(12月28日~1月1日) |
| webサイト(奄美市webサイト) | https://www.city.amami.lg.jp/bunka/kyoiku/bunka/hakubutsukan/ |
| インスタグラム | https://www.instagram.com/amamimuseum/ |
| 【入館料】 | 個人 | 団体 |
| 一般 | 310円 | 220円 |
| 高校生・大学生 | 150円 | 100円 |
| 小中学生 | 100円 | 50円 |
※記載の情報は2026年3月のものです。ご来館の前に最新の情報をお確かめください。

