生きていれば絶対に出る、ゴミ。ゴミが出たら、ゴミの日に近くのゴミ収集場に出しに行くというのがスタンダードだと思いますが、三島村竹島にはゴミ処理業者はいません。そのため、ゴミの処理は住民の仕事です。三島村竹島のゴミ処理事情について、紹介します。
三島村にはゴミ処理業者はいない!

都会にはない“リアルな離島の生活課題”のひとつに、ゴミの処理問題があります。
都市部に住んでいると当たり前にゴミはゴミ処理業者さんがどうにかしてくれると思いますが、実は全国にはゴミ処理業者が常駐していない離島がたくさんあるんです。
同じ鹿児島では、口永良部島はゴミを処理するところがないので、本土まで搬出しています。その他に、東京の青ヶ島もコンテナで本土に搬出しています。
さらに定期船が週に数本しか来ないような小さな島では、ゴミを定期的に運び出すことが難しく、住民がゴミの分別や運搬、処理を担う必要があります。
三島村の竹島も、そんな島のひとつ。ここにはゴミ収集車もなければ、ゴミ処理業者さんもいません。じゃあどうしてるの?というと、自分たちで焼却しています。
竹島のゴミ処理の流れ
竹島では、住民がゴミの処理をしています。そもそも本来はゴミ処理は行政の仕事なのですが、三島村の場合は役場が島になく本土にあるため、事実上対応が難しい。そのため、村が地区に業務委託費用を支払って、住民が処理をしているという感じです。
ゴミ収集日は毎週土曜日
竹島では、毎週土曜日がゴミの日と決まっています。
実際にゴミ処理業務を請け負っているのは、竹島青年会。地区からの再委託です。
竹島青年会には20名程度のメンバーがいますが、当番制でゴミ処理を担当します。
だいたい年に3~4回ほど当番が回ってきます。
当日は、地区のあちこちにゴミ収集カートがあるので、朝から軽トラでそこを回って、ゴミを回収していきます。
基本的に燃えるゴミのみで、生ゴミはカート隣にあるバケツへ。生ゴミは土に戻しています。
燃えるゴミは焼却炉で焼く
ゴミを収集したら、焼却炉へ向かいます。
この重厚な扉は、台風対策。

とてもひとりでは開けられません(笑)
この扉の向こうには…

かわいらしいサイズの焼却炉。
大昔、学校に合ったサイズ感ですよね。
焼却炉はサイズによっていろいろ規制があるらしく、このサイズになったみたいです。
小さいけど火力は抜群!
めちゃくちゃ暑いです。
やけどをしないように、どんどんゴミを焼きます。

量にもよりますが、収集から完了まで2時間程度でしょうか。雨の日などはなかなか燃えないので、時間がかかります。
燃えないゴミや資源ゴミはリサイクル小屋へ

瓶や缶、電池などの燃えないゴミは、種類ごとに分別して小屋に保管します。保管場所には限りがあるので、なるべくコンパクトにまとめる工夫も必要です。
これらのゴミは、ある程度溜まったら鹿児島市からコンテナを送ってもらって、本土に運びます。
ちなみに鹿児島市ではペットボトルは資源ゴミですが、竹島では燃えるゴミです。
空き缶は子ども会が回収!

燃えないゴミは基本的に自分でリサイクル小屋へ運ぶのですが、アルミ缶だけは子どもたちが月に1回回収してくれます。
これは、子ども会のリサイクル活動の取り組みとして実施しているもので、リサイクル業者へ空き缶を売却、そのお金を子ども会の活動資金にしています。
子どもたちの収集活動によって得られた収益で、お菓子を買ったり、ジュースを買ったり、レクレーションをしたり、クリスマスプレゼントを買ったり。

ゴミを“出す”だけじゃなくて、“集めて活用する”経験が、楽しいイベントやおやつにつながるという経済の循環も、自然に学べています。
竹島のゴミ処理は“人力”で“地道”

三島村竹島のゴミ処理は、すべて自分たちの手で行われています。少し(だいぶ)面倒に感じることもありますが、だからこそ見えてくることもあります。
例えば、「このゴミ、本当に必要だった?」って思う場面。
捨てるまでの手間や、焼却中の暑さ、リサイクル小屋の限界を思うと、なるべくゴミを出さないようにしようと、自然に考えるようになります。
これは、“SDGs(持続可能な開発目標)”とも通じる話。「つくる責任、つかう責任」といったキーワードを、都会よりもずっと身近に感じることができるのではないでしょうか。

