鹿児島県の喜界島。
サンゴ礁が隆起してできたこの島には、いたるところに美しい湧水が存在する。なかでも、伊実久(いさねく)集落にある「スンニャ湧水池」は、地域の人々の生活と深く結びついた神秘的な水辺だ。

静かに湧き出る“命の水”
スンニャ湧水池の周囲に響くのは鳥のさえずりと水のせせらぎのみ。まるで時間が止まったかのような静寂の中に、自然の息吹が感じられる。

地元の方々によると、この湧水は昔から様々な事で利用されてきたという。農作業の合間の休憩所としても親しまれ、子どもたちの遊び場でもあった。
名前の由来と文化的背景
「スンニャ」という名前には、伊実久集落独自の方言が色濃く残る。明確な由来は定かではないが、古くからこの場所を呼びならわしてきた島人たちの記憶が宿る。

湧水は単なる水源ではなく、集落の文化と信仰のよりどころでもある。集落では年に数回、地域清掃や祈願が行われることもあるという。自然との共生を大切にする島の暮らしが、この小さな水辺にも息づいている。
訪れる方々へ
スンニャ湧水池は観光地として整備されているわけではありません。だからこそ、手つかずの自然がそのまま残されている。
訪れる際には、静かに景色と音に身をゆだねてみてください。ここでは、都会では味わえない「水の時間」が流れています。

編集後記
スンニャ湧水池を初めて訪れたとき、その静けさと透明な湧水に、心が洗われるような感覚を覚えました。
伊実久集落の方々にとって、湧水はただの水ではありません。生活を支え、心を癒やし、時に語らいの場となる。そんな存在です。都市化の進む日本において、こうした自然との共生のかたちは貴重な記録であり、未来へ伝えるべき文化だと強く感じました。

YouTubeチャンネルはこちら⬇️
