8月7日から記録的な大雨が降り、水害被害が起こり、霧島市や姶良市の一部地域に深刻な影響を与えました。
霧島市溝辺町三縄地区にある前玉神社も大きな被害を受けました。地域の守り神として長い歴史を刻んできた神社の鳥居や社が損傷し、復旧には多くの時間と力が必要な状況です。
前玉神社は、古くから「須川様」と呼ばれ、牛馬を守る神様として信仰されてきました。祭りや参拝を通じて地域の人々の心の拠り所となってきたこの場所を、もう一度地域に取り戻すための取り組みが始まっています。
牛馬の守護神として繁殖無事を祈願する参拝者が多い「前玉神社」

霧島市溝辺町三縄地区にある前玉神社は、地元の人々から「須川様」と呼ばれ、古くから親しまれてきた神社です。祀られているのは久留味川の水神さまで、祠に刻まれた最も古い年号は寛文9年(1669年)です。300年以上の歴史を持つ、とても由緒ある神社です。
境内に立つ赤い鳥居は1784年に建てられたものです。鳥居を潜ると橋があり、緑に囲まれた参道を歩くと、静かな社殿へとたどり着きます。
前玉神社には、古くから語り継がれる言い伝えがあります。ある大洪水のとき、上流から流されてきた仔馬が、いくつもの滝を越えてこの地にたどり着き、須川様のご加護で助かったそうです。それ以来、牛や馬を守る神さまとして厚く信仰され、家畜の無事や繁殖を祈る人々が絶えませんでした。

今もその信仰は受け継がれており、毎年3月の最終日曜日には「須川様祭」が行われます。神事のあとには、鈴かけ馬踊りや棒踊り、ひょっとこ踊りといった伝統芸能が披露され、地域の人々が楽しみにしている行事となっています。
前玉神社は、長い歴史とともに地域に寄り添い、人々を見守ってきました。地域の方にとって大切な神社なのです。
豪雨で大きな被害を受けた前玉神社


三縄の象徴であった前玉神社は、8月の豪雨で大きな被害を受けました。2〜3時間降り続いた雨の影響で、川の水があふれ、鳥居は崩れ、川の近くにあった社は損傷を受けました。幸い、祠に祀られていた御神体は砂の中から無事に見つかりましたが、祠は壊れてしまいました。
こちらに社に祀られているのは畜産の神様。年始には、畜産農家が祈願の札を買い求め、牛舎に貼る習慣があるそうです。かつてこの地域には畜産農家が多く暮らしていました。遠いところからは、えびのや小林から訪れる農家もいるほど。

これまでも大雨で境内に砂が入り込むことはありましたが、これほどの被害は初めてです。
かつては、5つの自治会が神社を支えていましたが、今は1つの自治会だけで管理・運営を担っています。主に活動ができるのは10人ほどで、平均年齢は55歳前後です。「水害にあったからと神社をなくすのではなく、できる限り元に戻したい」という思いで復旧作業に取り組んでいます。


上にある社は家内安全や健康を祈る神さまで、本堂は奇跡的に大きな被害を免れました。しかし、近くにあった薪小屋の薪は流されてしまいました。その薪は、年末年始に参拝者のために使われてきた大切なものでした。
前玉神社は、地域の暮らしや思い出とともに歩んできた神社です。毎年年末年始は、火を焚いて参拝者を迎えてきました。かつては参道に長い列ができるほど賑わい、地域の子どもたちは3月の祭りを楽しみに、数キロ歩いて神社へ向かったといいます。
「子どもの頃の思い出が詰まっているから、なんとか復旧したい」地域の方のそんな想いが、復旧作業の原動力になっています。
しかし、神社を元の姿に戻すためには、地域の力だけではどうしても限界があります。だからこそ、今回クラウドファンディングを通じて、多くの方に前玉神社の再建を支えていただけたらと願っています。ご協力よろしくお願いいたします。
◼️ご支援はこちらからできます。
https://camp-fire.jp/projects/886958/view

