喜界島には、
ただ「歩くだけ」で終わらない道があります。
それが、
荒木・中里遊歩道。
ここは、
自然と歴史が、そのまま残された遊歩道です。


サンゴ礁が語る、島のはじまり

足元に広がるゴツゴツとした岩。
これは火山岩ではなく、隆起したサンゴ礁。
喜界島は、
世界的にも珍しいスピードで隆起を続けている島。
かつて海の底だったサンゴ礁が、
地震や地殻変動によって、少しずつ持ち上げられ、
今、私たちの歩く大地になっています。
この遊歩道は、
その「地球の動き」を間近で感じられる場所なんです。

ガジュマルに包まれる、森の時間

道を進むと、
頭上から伸びるガジュマルの枝と気根。
光と影が交差し、
一歩ごとに空気が変わっていく。
ここでは、
観光地らしい音は消え、
風と葉擦れの音だけが残ります。
島の人たちが
この道を「夕日の遊歩道」と呼び、
昔は散歩道として親しんできた理由が、
自然と分かってきます。
洞窟と断崖が残す、時間の層

遊歩道の途中には、
岩が裂けるように生まれた洞窟や、
切り立った岩壁が現れます。
それは、人の手で作られたものではなく、
長い年月をかけて自然が刻んだ傷跡。
一層一層が、
喜界島が歩んできた歴史そのものです。

海とつながる、島の暮らし

遊歩道の先に広がる海。
ここもまた、島の人たちの生活と深く結びついてきました。
自然を感じる道、
そして、先人たちが島を見守ってきた場所。
この道は、
観光のためだけにあるのではありません。
島の暮らしの延長線上にある道なのです。
編集後記
荒木・中里遊歩道を歩いていると、
「人は、この島の一部なんだ」と感じます。
自然の中に入るのではなく、
自然の時間に、そっとお邪魔する感覚。
便利さやスピードとは無縁の場所で、
ただ、歩いて、感じて、立ち止まる。
喜界島を知るなら、
まずはこの道を、
ゆっくり歩いてみてほしいです。
地図には載らない、
島の本当の表情が、そこにありますよ。

