みなさん、こんにちは。鹿児島マガジンでコラムを担当している川﨑良太です。
今回は「自立生活講演会」についてお届けしたいと思います。9年ぶりに霧島市での開催でした。まずは当日のお話からお伝えさせてください。

病院の大反対を覆した、一通の手紙
講演会では、実際に自立生活を送っている方々にお話しいただきました。このお二人の話がね、本当にすごかったんです。
上妻さんは、自立生活を始めようとしたとき、病院から大反対を受けました。それでも自分の意思を貫いて、院長に手紙を書いた。そうしたら許可をもらえたそうです。「自立生活は大変。でも、自分で決める喜びがある」。その言葉を聞いたとき、会場がシンとなりました。
岩坪さんは、「自分には自立生活なんてできない」とずっと思っていた方です。でも実際にやってみたら、ヘルパーさんと一緒に東京まで旅行に行けた。「自分はこんなこともできるんだ」と。エンパワーメントされた、パワーが戻ってきたんだと、そう語ってくださいました。
どのお話も本当に感動的で、会場の皆さんはうんうんと頷きながら聞いていました。僕自身も何度も聞いているはずなのに、やっぱり胸が熱くなるんですよね。

そもそも「自立生活」って何なのか
さて、ここで改めて自立生活という考え方について書いておきたいと思います。このコラムでも何度か紹介してきましたが、大事なことなので繰り返させてください。
自立生活とは、自分で選び、自分で決め、自分で責任を取る。「自己選択・自己決定・自己責任」という3つの理念に基づいた生活スタイルです。障害がある人が地域で、他の人と変わりなく暮らしていくこと。一人暮らしをしていくこと。
健常者にとっては当たり前のことかもしれません。でも、障害があると「選んで、決めて、責任を取る」ということが困難な場合があるんです。なぜかというと、現在の社会において、障害者がまだ一人前の大人として十分に認められていない現実があるからです。
だからこそ、まず自分で選び、決め、責任を取れる環境を整えていくことから、障害者の自立生活は始まります。
それを支えるために必要なのは、次の3つです。

- 選択をしっかりサポートするヘルパー
- 決定をサポートする周囲の人たち
- 自分で責任を取るという覚悟を持った、本人自身の自覚
こうしたことをトレーニングやカウンセリングを通じて身につけながら、僕らの生活は形作られていく。これが自立生活の定義です。
講演会で僕が伝えたかったこと
私は「CILひかり」という団体の代表として、ずっとこの自立生活を多くの方に知ってもらいたい、伝えたいという思いで活動してきました。自立生活講演会はその活動の一つで、これまで計6回ほど開催しています。昨年は薩摩川内と鹿児島市内で行い、今回は9年ぶりの霧島市開催となりました。
講演ではまず私から、自立生活センター(CIL)の説明をさせていただきました。
自立生活をするために欠かせないのは、本人がいつでも自分の人生の選択・決定ができるように、ヘルパーさんが常にそばにいる状態を確保すること。特に重度な障害がある方ほど、これは切実です。
- いつでもトイレができる状態
- いつでも寝返りができる状態
- いつでも吸引をしてもらえる状態
こういう状態が保てて、はじめて「自分の人生を自分で決める」ということが可能になるんですね。そして、そのことを地域や行政を含めた多くの方に知っていただき、応援してもらう体制を作っていく。
ここで僕がいつもお伝えしたいのは、これは「自分たちの権利だ」と主張するだけの話ではないということです。障害がある人も他の人と変わらない生活を送っていいよね、これまで「なかったこと」にされてきたけれど、本当はそうあるべきだよね、ということを周囲の人に知ってもらう。その過程でもあるんです。
この考え方は、アメリカのエド・ロバーツという方が提唱した生活スタイルですが、50年経った今でも世界中ではまだまだ浸透していません。CILは、こうした考え方を伝えていくのが役割なんだということを、まずお伝えさせていただきました。

グループワークで出てきた声
講演のあとは、グループワークの時間です。
今聞いた話をどう思ったか。自分がヘルパーとして携わるならどんな気持ちになるか。「自立生活をしてみたいけれど、実際に困ることってどんなことだろう」。そんなテーマで話し合ってもらいました。
参加者同士でお互いの思いをシェアしてもらったんですが、ここで出てきた声がうれしかったんです。「実際に自立生活をしてみたい」「自分もヘルパーとして携わりたい」。こういう言葉を聞くと、やってよかったなと思います。
固定観念を壊された日
最後に、今回の講演会を終えて僕自身が感じたことを書かせてください。
手前味噌ではありますが、この講演会を鹿児島県にもっともっと広めていきたい。そう強く思いました。
人は固定観念の中で生きていると私は思っています。自分のできることや知っていること、その範囲だけで物事を決めて人生を歩んでしまう。自分の人生においてはそれでいいのかもしれません。でも、その考え方だけで、障害を持った方や周りの人の可能性まで決めてしまっていないか。
そのことに、僕自身も気づかされた講演会でした。
「自立生活」という一つの生き方を広めていきたい。僕は心からそう思っていますし、それが自分の使命だと感じています。
これからもいろいろな場所で開催していきたいと考えております。この記事をご覧になって「うちでもやってほしい」と思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひお声掛けください。お待ちしております。


