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【頴娃町】酪農家が営む小さな工房「TSURU_RICH」

南九州市頴娃町にある「鶴田ファーム」。乳用牛を飼育し、牛乳や乳製品の原料となる生乳を生産している酪農家です。

そんな鶴田ファームの敷地内に、2025年7月20日、コンテナハウス「TSURU_RICH(つるりっち)」がオープンしました。ここでは、自分たちで育てた牛から搾った生乳を使い、チーズをはじめとする乳製品を製造・販売しています。

牛を育て、生乳を搾り、さらにその生乳をチーズへと加工する。酪農家が乳製品づくりまで手がける背景には、「自分のつくるチーズで誰かを笑顔にしたい」という想いがありました。

今回は、酪農家として牛を育て、生乳を生産するだけでなく、チーズづくりにも挑戦する鶴田ファームの新たな取り組みについて、お話を伺いました。

牛2頭からスタートし150頭まで増えた、鶴田ファームの酪農

南九州市頴娃町で酪農を営む「鶴田ファーム」。祖父が2頭の牛からスタートした牧場は、現在では約150頭の牛を飼育するまでになりました。酪農家の主な仕事は、牛を育て、生乳を生産すること。牛から搾ったばかりの乳を「生乳」と呼びます。

搾乳は1日2回、朝と夕方に行います。牛の乳房を消毒し、前搾りを行うなど、衛生管理を徹底したうえで、搾乳機を乳頭に取り付けて乳を搾ります。搾った生乳はすぐに冷却してタンクで保存し、乳業会社へ出荷し、牛乳やさまざまな乳製品として市場に出ます。

雌牛の乳を絞るためには、子牛を産むことが欠かせません。牛は、だいたい1年に1頭の子牛を産みます。搾乳できるのは雌牛だけであることから、雌牛が生まれる確率を高めるため、X染色体精液を選別した「性選別精液(Sexed Semen)」を用いた人工授精などを行います。約283日の妊娠期間を経て、出産をします。

子牛たち

牛は、毎日30kg程度のエサを食べて育ちます。牧草や乾草、牧草やトウモロコシを乳酸発酵させた「サイレージ」と呼ばれる粗飼料と、トウモロコシや大麦、大豆かすなどを使った濃厚飼料を与えています。粗飼料は牛の胃の健康や消化を支え、濃厚飼料はタンパク質や炭水化物など、ミルクを出すために必要なエネルギーを補います。エサの栄養素が、ダイレクトに生乳の質や量につながっていくので、エサの配合にも気を配らないといけません。牛の飼料のおよそ8割を自分たちで育てているのも、鶴田ファームの特徴です。

飼料のとうもろこし
牛が餌を食べているところ

さらに、鹿児島の暑い夏を乗り切るための工夫も欠かせません。牛は暑さに弱いため、牛舎には細霧装置(ミスト)を設置。水を細かな霧状にして気化熱を利用し、牛たちが過ごしやすい環境をつくっています。

また、鶴田ファームでは現在、一部の人に見られる牛乳を飲んだときのお腹のゴロゴロ感や不快感を和らげる効果が期待される「A2牛乳」を目指す取り組みも行っています。

牛によって模様が違う

搾りたての生乳をチーズに加工するTSURU_RICHの想い

鶴田ファームの敷地内に、ひときわ目を引く黄色のコンテナハウスがあります。アメリカンな雰囲気に仕上げたという黄色い建物は、チーズを連想させる色。牧場の敷地内にポツンとあるかわいらしい外観も、思わず立ち寄りたくなる魅力のひとつです。

TSURU_RICHでは、鶴田ファームで育てた乳牛から搾った生乳を使って作られたモッツァレラ、スカモルツァ、さけるチーズなど、さまざまなチーズを買うことができます。また、のむヨーグルトやミルクプリン、搾りたての新鮮な生乳を使ったソフトクリームなども販売しています。

購入したモッツァレラを友人に調理してもらった
濃厚ソフトクリーム

酪農だけでなく、搾った生乳を自らチーズやアイスなどに加工する「6次産業化」にチャレンジしたのは、TSURU_RICHのオーナーである七虹さんの「チーズ工房をつくりたい」という想いがあってこそでした。七虹さんは、高校では調理科に入り、料理をつくることを学んでいた経験がありましたが、チーズづくりの経験はゼロ。そこで、講義と実習を組み合わせた環境でチーズづくりを体系的に学ぶため、宮城県に行きました。鹿児島に戻ってから、約半年間、試行錯誤を繰り返しながら、自分が思い描くチーズを少しずつ形にしていきました。

チーズの基本材料は、生乳、乳酸菌(スターター)、レンネット(凝乳酵素)、塩。シンプルな材料だからこそ、分量や温度など、ほんの少しの違いが味や食感に影響します。生乳は低温保持殺菌を行い、少量生産だからこそ、一つひとつの品質管理を徹底しています。

「子どもにも安心して食べさせられる味をつくりたい」
「地元の風景が感じられるようなチーズを届けたい」
そんな想いから生まれたチーズは、いずれも少量ずつ鍋を使って手作りし、無添加で仕上げています。

TSURU_RICHのインスタグラムの投稿に、「経験も知識も資金も何もなかった私が、“チーズ工房をつくりたい”なんて言い出した。でも、自分のつくるチーズで、誰かを笑顔にしたいという気持ちは変わらなかった」と書かれています。

牛を育てている酪農家だからこそできることがある。牧場の中にある黄色いコンテナハウス「TSURU_RICH」では、そんな鶴田ファームの仕事と想いを、チーズなどの乳製品を通して味わうことができます。

コーヒーシェイクのカップに描かれたイラストは何種類かあるらしい

TSURU_RICH

場所:南九州市頴娃町御領9005-1
営業時間:10:00~16:00
定休日:月曜、火曜

インスタグラム
https://www.instagram.com/tsuru_rich

投稿者プロフィール

上村 ゆい

ヨガ講師×ライター。どちらかというと、からだが硬めのヨガ講師です。参加者のからだの状態に合わせたレッスン内容を心がけているので、老若男女問わずレッスンを受けていただいています。ヨガレッスンは、出張ヨガがメイン。趣味は、誰かを応援すること。ライターとして、鹿児島で気になる活動をしている人をご紹介していけたらと思います。

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