コロナが猛威を振るってきた3年前から鹿児島市和田にある妙行寺では『除夜の鐘の出張サービス』を行い、各地で非常に喜ばれています。(現在無料で利用可能)
 このサービスがきっかけで新たにNPOを設立中だとか。
 今回はこのサービスを企画した妙行寺住職「井上 從昭」さんにお話しを伺いました。

縁が広がる除夜の鐘

ーー除夜の鐘の出張サービスっていう意味合いで良いですか?

 今年に限ってはもう貸し出しサービス。
 去年までは持ち運べるセットと鐘が1つしかなかったんですよ。なので時間を決めて私の方で運べるところは運んで…という形でやってたんですけど、鐘のセットを手に入れて今年は3つになりました。
 今3つあって持ち運びできるように鐘を入れる箱も作ってもらって、これから鐘を入れるちっちゃな鐘楼みたいなのもコンパクトに作ってもらって、それを3組準備するので、それを借りに来てもらって…。
 終わったらお返しいただくか、あるいは次のレンタル希望先に持って行っていただくという形であれば貸し出しが可能です。

ーー檀家さんのところとかそういう事も関係なしにレンタルの希望が来ているのでしょうか?

 もう檀家さんじゃないところから結構来ちゃっているんで…。
 私がどちらかというと、医療関係・福祉関係とお付き合いがあるので、そういう施設から「お借りできないか?」という問い合わせも入ってきています。

ーー元々の目的というか始めたきっかけっていうのは…

 1番のきっかけはやはり来られない人がいるわけですよ。施設に入っておられたりとか、病院におられたりとか、除夜の鐘に行きたいけど来れないという方のところに、こっちから行けば良いよという非常に単純な発想。そこから始まりまして。
 ただそういう施設の方だけじゃなくて、1年終わっていくにあたって、うちの施設でもやりたいなという希望がありまして…。
 例えば、就労支援事業所だったり、子供の保育園だったり、そういうところからもお声がありました。
 そういう方々は別に足を運べるけど自分の施設で皆さんと一緒に1年の締めをしたいという希望がありまして、いろんな意味で利用できればと考えています。当初の意味合いよりも少しその辺が枠が広がりますね。

ーー1つのイベントみたいな感じですね。

 今年は今のところまだ妙行寺という名前でやってますけど、実はもうNPOとして申請を出していまして、この鐘の活動はNPOの活動として行っています。
 この伝統的な文化を次代に継承するという事が新たに立ち上げたNPOの趣旨にも沿いますので…。

ーー伝統継承のNPOを新たに立ち上げたのですね。

 今宗教法人でいろいろな地域活動とかやってますけど、宗教法人だとやっぱり規制もかかりやすいところもあったりするので、NPOだったらもう全然そういう問題もないから何か広げていこうと思えば、NPO法人の活動として一番手初めに鐘を宗教法人からNPOの活動ということで移行するつもりですが、まだ認可が下りていない。
 認可が降りていないのでまだチラシは妙行寺名義で作っています。

 認可が下りたらNPO活動の一環として行っていきます。
 地域活動であり、その伝統的な文化を継承していくという様な活動としてやっていく形になります。

ーー単に鐘を貸し出しても受ける側というのが1つのイベントとしてやるのですが、運用の方法は教えていただけるのでしょうか?

 そこはレクチャーしますよ。別に鐘の突き方も決まっていないので、そこはもうその施設が自分たちのやりたいようにやっていただければ良いです。
 ただ、年末の除夜の鐘なのでとんでもないことをするわけはないので、それはみんなで突きましょうというぐらいだと思います。
 私が去年までに行ったところだとやっぱり1年を締めくくるという意味でやっていますので、そこはもうどういう形でなさるかはNPOにそれぞれに任せますが、分からなければ聞いてくだされば良いです。
 こういうふうにやったら良いですよというのはもちろんレクチャーします。

ーーもう3年間やって来られたのですが、何か印象的なエピソードはありましたか?

 高齢の方々はとても喜ばれますよ。涙を流して喜ばれる方もいらっしゃいました。

 もうお寺も行けないし…お墓も行けないし…と思っていたところにこんなして鐘が来てくれるなんて思いも寄らないじゃないですか。1番はやはり高齢者施設や病院でかなり喜ばれましたね。

 喜入の浜田クリニックでの話なのですが、そこはもう私が届けて、後は先生方が自分の施設の中を回るから直には見てはいないのですが、「すごい」「やっぱり喜ばれている」「本当にこんな事ができるなんて」と喜ばれているという話は聞きます。

 もう1つの高齢者施設は、僕が実際行って入れないんですよね。
 お部屋までは入って、1階で僕がお話しして2階3階ユニットごとに映像を流していただいて、法話も聞いて、今そういうのがネットで可能じゃないですか。その上で僕はもう1階にいるんですけど、施設の方々が鐘を持って回って突いてもらおうと言うけれども、「もうそんな事ができるとは思わなかった」「諦めていた」と泣いて喜んだおばあさん達がいたいうのは聞きます。

 こっちはそうね。こんなちっちゃな鐘で31日でもないし、まだまだクリスマスぐらいなのにと思うけど、やっぱり受け手の方はイベントとして楽しんでいただいて構わないのだけど、それ以上のやっぱり「ありがたいな」「嬉しいな」という思いを持ってこられる方はいらっしゃる。
 それは間違いない。
 実感しておりますし…。

後編へつづく

【 出張除夜の鐘申し込み 】
実施期間 2022年12月1日~30日 申込期間 2022年10月15日より受付
開催: 浄土真宗本願寺派妙行寺(鹿児島県鹿児島市和田1丁目4-1)

 昨年もたくさんの施設にお邪魔させていただきました出張除夜の鐘、今年も実施いたします。1年間の感謝と来年への希望を胸に鐘を撞いてみませんか?

※注意※
 運搬の関係上、取りまとめてスケジュールを作成しますので、希望日に伺えない場合がございます。
 基本的に妙行寺から各施設様への運搬は申込施設様のスタッフの方々でお願い致します。(僧侶による法話・鐘撞のレクチャーなどが必要な方はあらかじめご連絡ください)
 高さが足りない場合などは机などの上に置き調整をお願い致します。

 ご不明な点は質問フォームまたは下記のメールアドレスまでお問合せください。
連絡先:myogyoji@po3.synapse.ne.jp

出張除夜の鐘申し込みフォーム

投稿者プロフィール

清永秀樹
清永秀樹
クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)