鹿児島発ポップカルチャーの現場より(第4回)
 第3回はこちらからご覧下さい。

『りなかる!』とは?

 2013年から株式会社まちづくり鹿屋が仕掛けるポップカルチャーイベント。
 地域振興系の組織では珍しいほど成果を上げているイベントで、約8割が鹿屋市外からのお客様です。
 単にイベントを楽しんで終わりといったものではなく、「イベントに遠方から足を運んでもらう」「イベントを通じて鹿屋市の情報を共有する」「宿泊やお土産等の購入で地域経済を盛り上げる」といった流れをしっかりつなげる事ができており、地域振興の良例として実績を作っていらっしゃいます。

 今回は『りなかる!』の総合プロデューサーである「コマツP」こと 株式会社まちづくり鹿屋の小松嘉永さんに『りなかる!』の現状とこれからについてお話を伺いました。

コロナの影響で運営の危機

ーーさっそくお話をお伺いしますが、コロナ禍の影響がかなり出ている様ですね? 

 現在では政府方針に従って観客席から大声を出さなければ100%席を埋められるのですが、鹿屋市の方針では50%。
 リナシティは400席なんで半分の200席となると成果を上げるのが難しいですね。特に公共施設という側面を持つ為様々な制限があり、その中で満足のいくサービスを提供できるかというのもかなり難しい状況です。
 同じ鹿児島県内である鹿児島市などでは規模は縮小させているにせよ「おぎおんさぁ」などが開催されている様ですが、鹿屋市では2年間夏祭りが開催されておりません。今年も開催しないと話が出ているので3年間夏祭りが無かった事になります。

イベントを観光の導線に

ーー『りなかる!』は単にイベント開催だけで終わるのではなく、イベントを通じてお客様と地域の交流が活発になる好例と見ているのですが、「鹿屋市への観光」といった側面から見た実例を教えて下さい。

 『りなかる!』では市外からのお客様が8割。更に県外からのお客様は全体の3割にもなります。
 『りなかる!』『りなメロ!』と2日間イベントを行うと両方に出たいと考えるお客様は多く、それにより宿泊を伴う為、余裕のある時間で「観光地を巡ってみようか?」とか「地元の美味しいお店を巡ってみようか?」と行動される様です。
 そういう事もあって、イベント時にはカンパチロウに演者と絡みながら地元特産品をPRするパフォーマンスもやってもらってもらいました。

 数年前のりなかるでは「寿鶴」(垂水ですけど…)のCMソングを振り付きで演者がやってくれた事から1階にあるお土産コーナーで「寿鶴」を買い求めるお客様で行列ができ、売り切れてしまいました。
 それ以来イベント時には物産コーナーで「寿鶴」が品薄になる様になりましたね。
 また別の事例を言うと「竹亭」のとんかつを演者が紹介するとイベント参加者がお店に足を運んだ様です。
 上記等事例の他にイベント告知として演者が鹿屋市への誘客PRを行ってくれる事から、ポップカルチャーイベントは「観光につなげられる」と考えています。
 ただ楽しいイベントを1発屋的に開催するのも良いですが、持続性のあるイベントを行う事を通して観光につなげる事も考えています。

転換の時

ーーコロナ対策で人との距離を空ける施策を取らないといけないので集客と運用がかなり難しい状況ですが、オンラインも併用したイベント運営は考えられないのでしょうか?

 『りなかる!』運営としてはリアルでリナシティに人を集めるのが仕事なので、オンラインイベントは基本的に考えていません。
 しかし先日行ったVtuberイベント『りなブイ☆』ではオンラインコンテンツを絡めたリアルイベントになりましたが、ああいった新しい形はありかな?とも考えています。
 ですが施設運営の立場としてはお客様を現地に集めるのが絶対条件になりますので、地元の方針に従いながらいかにリアルで集客を行うかが今後の課題になります。
 その他に声優を使った朗読劇と言った新しい切り口でウィズコロナに対応できるイベントを仕掛ける事を考えているところです。

『りなかる!』の経験から制作者のみなさんへ

ーー最後に鹿児島でポップカルチャーに携わる方へメッセージがあればお願いします。

 『りなかる!』というリアルイベントの運営を通して皆さんに言える事は、とにかくリアルイベントに積極的に参加して欲しいという事です。
 ネット上でもどんどん作品を送り出す事は可能ですが、リアルの反応・反響って何か得難いものがあると思っています。
 リアルイベントだとその分野に全く興味の無い方がイベントに紛れ込んでしまう事でその方々の目に作品が触れ、リアルな反応を貰う事ができる可能性が出てきます。
 その方が新しいファンになってくれる可能性もあるのです。
 イベント主催者としても既存のユーザーだけでなく、その分野に興味の無い方々をいかに取り込むか?という事も考えイベントを仕掛けていますので、リアルイベントに参加していただき、その良さを実感していただきたいですね。

りなかる!ホームページhttps://www.renacul.com/
りなかる!Twitterhttps://twitter.com/renacul

投稿者プロフィール

清永秀樹
清永秀樹
クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)