お弁当やサラダの彩りに欠かせないトマト。代表的な夏野菜なのですが、近年はハウス栽培の普及により、年間を通して出荷できるようになりました。冬春トマト(12月から6月にかけて)と夏秋トマト(7月から11月にかけて)に大きく分けられます。
農林水産省のサイトで調べたのですが、トマトの日本一の生産量を誇るのは「熊本県」です。熊本県では、1年間を通して、安定的にトマトが出荷できるそうです。
実は、鹿児島県指宿市で、50年ほど前からトマトを生産している農園があります。指宿と言えば、オクラやスナップエンドウの生産者が多いイメージです。その中で、50年もトマトをつくり続けている想いなどを「澤山農園」の澤山さんにお伺いしました。
トマトの種類は「大玉トマト」「中玉トマト」「ミニトマト」の3つ
トマトの大きさは、「大玉トマト」「中玉(ミディ)トマト」「ミニトマト」の3つに分類されます。
「澤山農園」で、最初に作ったトマトは、大玉トマトだそうです。収穫した野菜や果物には、それぞれ定められた大きさや形などの「農産物規格」があります。規格外の野菜や果物は、安価での出荷か、廃棄するかです。大玉トマトの規格は厳しく、きれいな丸の形ではない場合、規格外のB品になりやすいと言われています。


澤山農園では、出荷量を安定させるためにも、現在は、大玉トマト以外に、中玉トマトやミニトマトもつくっています。
美味しいトマトをつくり続けるための工夫
「澤山農園」は、冬春トマトをビニールハウス内で栽培しています。8月頃に植え付けをし、10月下旬から6月上旬まで収穫をします。
トマトは、受粉をしてから、果実が大きく成長します。1つの花の中に雌しべと雄しべを持つ「自家受粉植物」なので、風や昆虫がもたらす振動で、受粉します。しかし、ハウス栽培だと、それは望めません。受粉の質を落とさないために、「ホルモン処理」が行われます。ホルモン処理とは、ホルモン剤をふきかけることで、花に受粉したと勘違いさせて実をつけさせる方法です。このようにトマトの実を育てるために、一手間がかけられています。

「美味しいトマトをつくるため、水のやり方にこだわっています」と澤山さん。必要以上に水を与えないほうが、トマトの糖度が上がると言われています。トマトつくりには、水やりのタイミングが欠かせないのですね。他にも、有機肥料「海藻エキス」を使って、栄養バランスのとれたトマトをつくるなどの工夫をされています。
なるべく農薬を使わないという工夫
野菜の価格は、変動しやすいです。「安くて買いやすい」という時もあれば、「高くて買えない」という時もあります。価格変動は、天候不良や害虫の発生、野菜の病気などにより、収穫量が減ってしまうことで起こります。
例えば、「コナジラミ」と呼ばれる害虫は、葉の汁を吸うので、株を弱らせてしまいます。トマトやナス、ピーマンなどの作物が、被害に合いやすいと言われています。
害虫対策として、農薬をかけるという方法があります。しかし、澤山さんには、「なるべく農薬を使わない農業をしたい」という思いがあります。なので、農薬を使わないための工夫をしています。

こちらは、LEDです。LEDは、作物の成長を助けてくれるので、室内で栽培する際に、天候や気温の変化に左右されにくいと言われています。実は、成長促進だけでなく、コナジラミの忌避効果も期待できるとか。澤山さんは、「実際に使ってみて、効果が実感できた」と話していました。
その他、害虫を食べてくれる生物(天敵)を活用する方法もあります。天敵を引き寄せてくれる植物(バンカープランツ)をハウス内に植えるという工夫もしています。
「澤山農園」で育てられたトマトはここで買える
「澤山農園」で作られているトマトは、指宿にある道の駅や、ビニールハウス近くにある「無人販売所」で買うことができます。直売所は、国道226号の「岩本」交差点を池田湖方向に走ると、赤いトマトが置いてある無人販売所が見えてきます。

大玉トマト、中玉トマト、ミニトマトが、「売り切れごめん」で販売されています。時には、「まだトマト残っていますか?」と確認の電話がくるほど。鹿児島市や県外から買いに来られる方がいるそうですよ。すごい。

トマト販売の側に、年季の入ったたぬきが置かれています。「無人販売所をはじめた30年前から、ずっと見守ってくれているので、守神のような存在です」と澤山さんは話します。たぬきの前に置いてある料金箱も、30年間ずっと使われているとのこと。
たぬきの守神に見守られながら、中玉トマトとミニトマトを買いました。

ミニとまと「ほれまる」は、酸味と甘みのバランスがとれていて、旨味がギュギュッと濃縮されている感じがしました。中玉トマト「シンディースイート」は、噛んだ瞬間に、程よい水分と甘みが口の中で広がりました。大きさが違うと、味わいも変わってくるのですね。ほれまるは、サラダやお弁当の彩りとして、シンディースイートは、トマトパスタやスープの具材として使っても良さそう。
ドライブで指宿方面へ行く際は、ぜひ「澤山農園」のトマトを買いに立ち寄ってみてくださいね。
投稿者プロフィール

- ヨガインストラクター×フリーライター
- ヨガインストラクター×ライター。どちらかというと身体が硬めのヨガインストラクターです。その人に合ったレッスン内容を心がけているので、老若男女問わずレッスンを受けていただいています。ヨガレッスンは、出張ヨガがメイン。趣味は、美味しいものを食べること。ライターとして鹿児島のいろいろなことをを発信していけたらと思います。
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