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【世界に一つだけ】「薩摩ボタン」の絵付け体験会に参加しました!

昨年のいま頃、鹿児島の伝統工芸品「薩摩ボタン」の絵付け体験をするために、垂水にあるアトリエまで行きました。薩摩ボタン絵付け師 室田志保さんが主催する絵付け体験会は、年に2日、この時期にのみ行われます。

絵付けをするのは難しかったけれど、自分だけのオリジナルの薩摩ボタンが作れて、とっても満足度の高かった体験会。「もう一度、体験してみたいな」という気持ちとともに、今年も参加の応募をしました。見事、友人とともに体験ができる権利をゲットすることができたので、今年も体験会を振り返っていきたいと思います。

薩摩ボタンとは

わたしと室田さんとの出会いは、室田さんが「薩摩ボタン」についてお話されていた、とある集まりに参加したことがきっかけでした。

「薩摩ボタン」は、江戸末期、倒幕運動などの軍資金を得るために作られたといわれています。しかし、非常に細かな作業が必要なことに加え、薩摩ボタンの生地を作る窯元が減ったこともあり、一度は廃れてしまいました。

そんな薩摩ボタンを、現代に合う形で復活させたのが室田さんです。

白薩摩でつくられた直径8mmから5cmほどのボタンに、金をはじめとする豪華絢爛な彩色を施し、ミリ単位の世界に絵を描いていく。その繊細な制作過程から、室田さんは薩摩ボタンのことを「ボタンの中の小さな宇宙」と表現しています。

薩摩ボタンは、次の8つの工程を経て完成します。

step1:ボタン生地の作成
薩摩ボタンの生地には、薩摩焼の「白薩摩」の白い生地を使用します。生地は、指宿にある薩摩焼の窯元に依頼して作ってもらっているそうです。

step2:下書き
デザインを決め、極細の水性ペンで下書きをします。ペンの跡は、窯の中で蒸発して消えます。

step3:すじ描き
極細のイタチ毛の筆を使い、マット金(金または白金と油を混ぜたもの)で輪郭を描きます。

step4:色入れ
陶磁器用の絵の具をすり鉢で練り、マット金で描いた輪郭の内側に色を入れていきます。

step5:窯入(1度目)/焼成
step6:窯入(2度目)/修正
step7:窯入(3度目)/金彩色

step8:完成
最後の工程では、金を丁寧に磨き上げます。金特有の輝きが現れたら、薩摩ボタンの完成です。

このように、いくつもの手間と時間をかけながら、薩摩ボタンは一つひとつ丁寧に作られています。

思わずリピートしたくなる絵付け体験会

薩摩ボタンの絵付け体験では、まず自分で決めたデザインを極細の水性ペンで下書きし、その後、用意された色を筆で塗っていきます。昨年、わたしが体験会で描いたのは「月下美人」です。初めての絵付け体験だったこともあり、「丸みを帯びたボタンに、ペンで下書きは無理〜」と嘆きながら描いた記憶があります。

実は、薩摩ボタンの制作では、「筆に慣れるのに3年。金に慣れるのに3年」と言われるほど、筆で金を使って描く作業は難しいものです。そのため、金で輪郭を描く工程は、室田さんが担当してくれます。

金の輪郭が入ると、作品の印象がぐっと引き締まり、見違えるように変わります。さらに、修正や仕上げをプロの手で整えてもらうことで、想像以上に素敵な仕上がりになりました。世界にひとつだけの作品を作ることができるため、体験会を何度もリピートする人が多いのも頷けます。

そんなわたしは、今年が2度目の絵付け体験。今年選んだデザインは、シマエナガにしました。この写真を見たみなさま、きっと心の中で「これは、シマエナガではなく、ひよこ饅頭ではないか」と思いましたよね。奥に写っている下書きをご覧ください。下書きでは、シマエナガが描けたはずだったんです。でも、丸みを帯びた薩摩ボタンにペンで描いたら、このような結果になってしまいました。ああ、無念。

室田さんのアドバイスを受けて修正を試みたものの、なかなか思うようにいきません。そこで、室田さんのゴッドハンドに頼ることに。すると……ほら、シマエナガっぽくなりましたよね(笑)。

さらに室田さんから「ふさふさ感を出すために、1本1本毛を描いてみては?」と提案をいただきました。そこで、息を止めながら、慎重に1本ずつ毛を描いていきます。息を止めていないと、線があちこちに飛び出してしまいそうなのです。

ちなみに室田さんは、息を吸いながらでも描けるうえ、なんとしりとりをしながらでも描けるのだとか。恐るべし、職人の技です。

一緒に体験をした友人、普段はよく喋るのに、めちゃくちゃ真剣に、一言も話すことなく描いていました。初体験なのに、細かいスズランが描けるなんて、やるな友人!

1時間、これでもかってくらいの集中力を使い果たし、無事に絵付け体験を終えることができました。難しかったけれど、やっぱり楽しい。完成が楽しみです。

残念ながら、来年は鹿児島での絵付け体験会は実施しないそうです。代わりに、県外での体験会を予定しているとのこと。ボタンの中の小さな宇宙である「薩摩ボタン」の魅力が、これからもっと多くの人に届いていくのかもしれません。

こちらの記事では、室田志保さんについてご紹介しています。

投稿者プロフィール

上村 ゆい

ヨガインストラクター×ライター。どちらかというと身体が硬めのヨガインストラクターです。その人に合ったレッスン内容を心がけているので、老若男女問わずレッスンを受けていただいています。ヨガレッスンは、出張ヨガがメイン。趣味は、美味しいものを食べること。ライターとして鹿児島のいろいろなことをを発信していけたらと思います。

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