
静かな夜、海辺を照らす柔らかな月明かり。さざ波に導かれ、一匹の母ガメがゆっくりと浜へ上がってくる。幾千年も繰り返されてきた命を繋ぐ神秘の瞬間が、鹿児島-屋久島-で静かに幕を開ける季節がやってきました。
1. 屋久島の神秘、ウミガメ産卵シーズン到来
屋久島は、日本で最も多くのアカウミガメが産卵に訪れることはご存じでしょうか?実はその数、なんと日本一!毎年5月から7月にかけての産卵シーズンには、多くの人々がこの奇跡的な瞬間を目撃しようと島を訪れます。生まれも育ちも鹿児島..な私ですが「ウミガメの産卵日本一」というのを知ったのはつい最近。いおワールドかごしま水族館の爬虫類担当職員さんから教えてもらいました。ウミガメって、爬虫類なんですって。それにもビックリ・・!
2. ウミガメの産卵を目の前で!let’s屋久島旅
「鉄は熱いうちに打て!」と言わんばかりにウミガメの話を聞いて直ぐに屋久島ウミガメ旅を計画しました。(※私たちが屋久島へ訪れたのは2023年の6月)鹿児島本島から、屋久島へ行くには3つの方法がありましたが、一番旅費を抑えれる「フェリー」を利用することに!
交通手段 | 所要時間 | 費用(片道) | 特徴 |
飛行機 | 約35分 | 約9,000~12,000円 | 最短時間で到着可能。天候に影響を受けやすい |
高速船(トッピー) | 約2時間 | 約6,100円~7,000円 | 快適な座席で速く観光に便利。天候により欠航も |
フェリー(はいびすかす) | 約4時間 | 約4,300円~5,100円 | 車輛の持ち込み可能でゆったりした船旅。最も安価 |
※価格は時期や指定する座席によって変わります◎目的に合わせて交通手段を検討されてください
鹿児島港からフェリーで約4時間。フェリーでの旅は想像していたよりは快適で、本を読んだり昼寝をしたり・・笑 あっという間でした。


3.ウミガメ観察会
屋久島ならどこでもウミガメが上陸していくのか?というとそういうわけでもなく。屋久島の中でも数少ない砂浜、貴重な湿地である「永田浜」に産卵しに訪れます。また、産卵時間もおおよそ決まっており人間時間の夜間帯に浜にあがってくるようです。
最盛期には一晩で20頭以上のウミガメを見ることもあるそう!(永田連絡協議会HP参照)
今から、大切なことをいいますね。
永田浜は、ウミガメ保護の観点から夜8時~翌朝5時までは一般の方の浜への立ち入りが禁止されています。ウミガメの産卵を観察するためには、永田ウミガメ連絡協議会が運営するウミガメ観察会へ参加する必要があります。
下記URLより詳細が確認できるので「ウミガメの産卵、見てみたい!」という方は要check!!
http://nagata-umigame.com/
観察期間:5月10日~7月10日
開催時間:受付 20:00~20:30
参加料:大人1名 3000円/中学生以下1名 500円
集合場所:永田いなか浜駐車場
親子共々期待に胸を躍らせ、真っ暗な浜へ向かい、静かにその瞬間を待ちます。説明された通り懐中電灯の使用は禁止なので、月明かりのみが頼り。ここまで来ても、ウミガメの産卵に立ち会えるかどうかは運次第。時期的にも雨が多い季節なので雨具は必須。私が参加したのは6月中旬でしたが、夜の海辺は案外肌寒いのでお子さま連れの方はアウターの準備もおススメします。
1時間ほど経ったころでしょうか..静かな波の音に混じって、ゆっくりと動く影が見えました。参加者は息をのみながら陸へ上がってきた母ガメの姿を見守ります。重い体を引きずるように浜辺の奥へ進み、やがて砂を掘り始めました。音を立てないように、産卵の邪魔にならないように、場所を変わりながら参加者みんなでウミガメを応援します。
ウミガメは涙を流しながら産卵すると言いますが、正直暗すぎてそこまではっきりと涙をとらえることはできませんでした。けれど、テレビでもなくSNSの動画でもない目の前で産卵をするウミガメの姿は、言葉にできないほど神秘的。娘と共に、大変貴重な経験ができたと今でもしみじみ語ることがあります。
夜間、浜でのスマホ、カメラ、その他光を発する機器は使用禁止のため写真を撮影することはできませんでした。文章だけでは伝わらない感動が必ずありますので是非、現地で体感してほしいです!
4.奇跡の「朝ガメ」に出会えるかも?!『民宿いなか浜』
屋久島でウミガメの産卵を観察したい!と思い滞在先として選んだのは『民宿いなか浜』です。
1泊2日で、夕朝2食付き。


わたしがここを宿泊先に選んだのは永田浜に近いからという理由だけではありません。永田お宿の会加盟の宿に宿泊すると朝5時から行う保護活動にも参加できるのです。
運が良ければ早朝に産卵を終え海へ戻る母ガメ、「朝ガメ」に遭遇できることがある、とのことで運にかけて保護活動の一環である卵の移植作業にも参加することに。。

夜は懐中電灯やスマホ等の使用も一切禁止ですが、朝の観察では写真を撮る許可もいただけます。
ダメもとで、運にかけて・・で参加した保護活動でしたが大変有意義な経験をさせていただきました。この時期に保護した卵は7月下旬ごろに孵化して子カメが海へ戻っていく姿もみることができるとのことでした。
そして、奇跡的に!!私たちは朝ガメに遭遇することが出来て明るい中での産卵の様子、産卵を終えたウミガメが海へ戻っていく様子を見れました。

親切な店主さんがウミガメとの2ショットも撮影してくれました。笑

ウミガメの観察会、卵の移植活動、朝ガメの産卵・・一通りの体験ができたあとは屋久島にある【うみがめ館】に行って更にウミガメに関する知識を深めました。うみがめ館には写真パネルや剥製等、ここでしか見られない貴重な展示物を多数展示されており、スタッフの方が親切にご案内してくださいます◎


5.屋久島に来たら是非訪れてほしい厳選スポット2選
屋久島は自然だけでなく、温泉やグルメなど魅力的なスポットが満載です。ここでは、私が実際に訪れてよかったと感じた厳選スポットを2つご紹介します。
①尾之間温泉
住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間1298
営業時間:7:00~21:00(月曜定休)
入浴料金:大人300円 小人150円
民宿いなか浜からは車で約1時間ほど。こんこんと天然温泉が湧き出るこの施設は、昔ながらの素朴な雰囲気が魅力です。入り口には可愛い看板猫さんもいました。
泉質はがっつり硫黄系!うっかりシルバーの指輪をしたまま入浴をしたら、気づいたときには真っ黒になっていました。温度が高めなので、お子さま連れの方は配慮が必要かもしれません。
湯質は最高!屋久島に訪れたら必ず来たい温泉です。

②屋久島ふるさと市場 島の恵み館
住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦797-1
営業時間:売店9:00~18:00 レストラン10:00~15:00(L.O.14:30) 無休
お土産が豊富に揃い、併設されているレストランでは屋久島名物「トビウオの唐揚げ」を楽しむことができます。サクサクとした食感と旨味が凝縮された唐揚げは絶品で、子どもから大人まで大満足間違いなしのご当地グルメです。

【さいごに】
子どもの自由研究のために訪れた屋久島でしたが、ウミガメの産卵を目の当たりにし、その奥深い自然の営みに心を強く打たれました。いつでも見られるわけではなく、限られた季節だけに体験できる神秘的な瞬間。少しでも興味を持たれたら、ぜひ屋久島へ足を運んでみてください。きっと忘れられない旅となることでしょう。