海が広がる10号線の磯沿い。今年は観光名所の仙厳園前に、仙厳園駅も開業しました。今回は、仙厳園の道路挟んで反対側にひっそりと建つ「実はすごい」旧鹿児島紡績所技師館で行われたイベントに参加した様子をご紹介します。

旧鹿児島紡績所技師館は仙厳園前のジョイフル駐車場の奥の方にあります。駐車場もあり、入館するとサービスチケットもいただけます。
鹿児島紡績所は日本初の近代的紡績工場として、均質な綿、糸、織物製品を大量生産できる技術を習得し、それを日本各地に分散していたそう。世界文化遺産に登録された「富岡製糸工場」も、鹿児島紡績所に起源を持つ工場のひとつなのだというから驚きです。
今回開催されたイベントでは、当時、紡績所で「綿を梳く・綿打ち・糸を紡ぐ・布を織る」という工程を全て行っていたという経緯に準じ、「綿花を採取し、糸を紡ぎ、機織りをして作品を作る」盛りだくさんのワークショップが体験できました!当時の紡績所にも想いを馳せながら御覧いただけますと嬉しいです!

こちらの綿花は、例年5月上旬に参加者を募集して種まき体験をしてもらい育てているそうです。
綿花は2種類あり、それぞれ葉や花の形状が異なります。
こちらが、元々日本で育てられていた和綿花。


そして、こちらが洋綿花。綿の質も異なっていて、洋綿花の方が繊維が丈夫で長く加工しやすいそうです。この洋綿花と出会って斉彬公が「これならいける!!!」と紡績事業が加速したのだとか?


和も洋も、綿花の中に小粒の種が入っています。種は、糸を紡ぐ前に取って保管。綿花は比較的育てやすいようです。

和綿花の実はこのくらいのサイズ感!見た感じ、大きいイチゴのようですね。この状態で採取しても、風通しの様場所で吊るしておくと自然と実が割れて綿がでてくるのだとか。面白い~!!
屋外での体験は、まだまだ暑かったのですが熱心に説明してくれる市の職員さんのおかげで綿花や鹿児島の紡績業についても知ることが出来ました!
続いて、屋内の施設の中へ。幕末から明治初期における西洋風建築として貴重な建造物。このような建物で、歴史を感じながらのワークショップも素敵ですね。


綿花で糸を紡ぐ体験は、ご自由に~という感じで1台置いてありました。
メインは「機織り体験」

復元された大幅機を横目に、

ワークショップで使うのはこちら。私たちは朝一で申込をしましたが、開始1時間程度で機織り体験の待ちは30人ほどに!!
大変人気のある機織り体験。。

用意された、糸・毛糸・裂き糸などを使って織っていきます。単純な作業のように見えて、使用する糸の細さや性質により織る強さを変化させる必要があり、上手に作るにはやはりそれなりの経験と技量が必要に感じました。

わたしは、職場の同僚と計5名で参加したので各々の個性が出る作品が作れて大満足!!みんな集中して黙々を織っていました。仕上がった作品は、コースターやタペストリーなど!

講師の先生は【手織り工房】の谷口先生!
普段は、鹿児島市喜入地区で草染め体験や織物教室をされていらっしゃいます。
手織り工房 わくわく本舗
https://teorimono.com/
今回のワークショップ、楽しかったけれどもう少し改善の余地があった・・気がするので工房でリベンジしたい所存です!
また余談ですが..一通りのワークショップが終わった後、アンケートに答えたら景品がもらえました。

どれか一つ?と思いきや、3点全部いただけてびっくり!!!!
マスキングテープも可愛いし、産業革命遺産のクリップも可愛い!
そして、何より気になるのが「世界遺産ミステリー文庫」!!笑
ちょうど季節は読書の秋。夜長のおともに、読んでみようと思います。
しっかりと、ワークショップを堪能した後に館内を探索。当時の様子を再現したアンティーク家具で作られた洋室が数部屋。紡績事業について説明されたパネルも充実していました。
現代では珍しくない洋風建物も、きっと当時(幕末~明治)にはうんと異様なものに見えていた事でしょう。


今回の綿花のワークショップを通して、旧鹿児島紡績所技師館を訪れ、幕末からの産業革命に思いを馳せることができました。「日本を何とかしないといけない」「今のままではいけない、変わらなければ」と薩摩の人々が苦難の末作り残してきた歴史の先が現代です。その思いに背くことがないよう、今を未来に繋いでいける生き方ができればいいなあと思う次第でした。
文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/173565
旧鹿児島紡績所技師館
https://www.city.kagoshima.lg.jp/kyoiku/kanri/bunkazai/shisetsu/kanko/048.html
≪令和7年10月から入館料が変わりました≫
【市民料金】
(一般)個人:300円/団体:240円
(小中学生)個人:150円/団体:120円
(注)市民料金で利用するためには運転免許証やマイナンバーカード、生徒手帳などの掲示で、鹿児島市民であることの証明が必要です。
【市外料金】
(一般)個人:400円/団体:320円
(小中学生)個人:200円/団体:160円

