鹿児島県の南、豊かな自然に恵まれた南さつまの地に、素敵な場所があるってご存知ですか?今回私がお邪魔してきたのは、加世田津貫でひときわ目につく高い建物マルス津貫蒸溜所!(後に分かりましたが、高い建物は旧蒸留塔で現在はマルス津貫蒸溜所のシンボルタワーとなっているようです)
鹿児島中央駅から、車で1時間弱。のんびりドライブを楽しみながら行って参りました。
いざ、マルス津貫蒸溜所
南さつま市加世田津貫は、本坊酒造の発祥の地。1872年(明治5年)に地元の農産物を加工・販売する事業を興したことに始まります。本坊酒造、といえば「あらわざ桜島(焼酎)」が有名ですが、この津貫の地では現在ウイスキーの製造・貯蔵も行っています。

マルス津貫蒸溜所は基本的に自由見学。受付を済ませてまずは旧蒸留塔から回ることに。
旧蒸留塔内には本坊家、本坊酒造の歴史を紹介するパネルや昭和初期の焼酎壺や看板などが展示されており、百有余年のヒストリーをぎゅぎゅっと見ることが出来ますよ。


創業から現在に至るまで(その間153年!)を年表で見ていて感じたのは、本坊酒造の情熱passionと挑戦challengeの歩み。旧式焼酎(現:本格焼酎)の製造免許を取得したのを皮切りに、ワイン・ウイスキーなどの洋酒、そして灰持酒(あくもちざけ)のような地酒も製造しています。
「鹿児島と言えば、焼酎!」
そんなイメージでしたが、焼酎造りで培われた技術を蒸留酒へ活かし未知の領域に果敢に挑戦している印象を受けました。カッコいい。
次に、原酒が眠る石蔵樽貯蔵庫を見学。
ここでウイスキーの原酒が熟成されています。鼻孔をくすぐるウイスキーの甘い香りがたまりません。

津貫のような南国の温暖な気候は、熟成を促進する一方で、「エンジェルズシェア(天使の分け前)」と呼ばれる蒸発量も多くなるそうです。蒸発量が多くなる、ということは生産量が少なくなる、ということ。しかし、それは決してマイナスなだけではなく、この土地ならではの個性が凝縮されたウイスキーになっていく要素なのだと知りました。
樽が並ぶと、圧巻ですね。
最後に、ウイスキー造りの工程が見れるウイスキー蒸溜棟へ。

入室して直ぐに、蒸留機器が出迎えてくれました。

樽とはまた違う圧倒的な存在感。
2階へ上がると、ガラス越しに糖化、発酵、蒸留の工程を見学することができます。
(写真を撮り損ねてしまったので、是非現場で見学してほしい!<m(__)m>)
ビデオ映像でウイスキー造りについての説明を見ることもできますので、酒類製造の知識はなくても存分に楽しめました。
そして、棚に並ぶ本坊酒造製造の蒸留酒の数々から目を引いたのはこちら

(中身は入っておりませんが)
限定販売の、純鹿児島産ウイスキーです。
鹿児島で製造しているだけでなく、原材料も鹿児島というので驚き。
毎年、11月に開催している津貫蒸溜所祭りで抽選販売受付の上当選した人だけが購入できるプレミアウイスキー!!
2025年も開催予定、とのことなので今年は足を運んでみようと思います。
それにしても…純鹿児島産ウイスキー、どのようなお味なのだろう..賞味してみたい!!!
本坊家旧邸 寶常(ほうじょう)
工場見学の締めくくりは、蒸溜所に隣接する本坊家旧邸「寶常」
本坊酒造二代目社長・本坊常吉さんが暮らした邸宅をリノベーションした建物で、現在はカフェバー・ショップとして営業しています。製造工程を見学した後で、試飲ができる..なんというご褒美でしょう!


伝統的な木造建築。室内は品良く洗練された調度品でコーディネートされた空間。明るい陽が差し込む大きな出窓から見えるのは丁寧に整えられた庭園。リッチ感が半端ないです。
この日は寶常の支配人である田中さまにお話しをお伺いしながら、寶常で味わえるお酒を試飲させていただきました。

支配人の田中さま。本坊酒造の歩み同様、情熱的な方でした。大変お話が上手で美味しく試飲するならカウンターがおススメ!

まずは、おススメから3種類。
なんと・・・!!!
蒸溜棟でチェックしていた、限定販売の純鹿児島産ウイスキーも試飲できるとか!!
価格は、お酒によって様々ですがリーズナブルに飲み比べができます。
何より、支配人田中さまがそれぞれのお酒にまつわる製造秘話を聞かせてくれるのでより味わい深く堪能できます。(この日、わたしはドライバーだったので連れの者が試飲してました。悔しい….)
ちなみに、お酒が飲めない方向けにノンアルコールのジュースもございます。

こちらは、オレンジジュース?と思いきや金柑ジュース!!一口飲んで、「美味しい!」が出ちゃう。お酒が飲めなくても、ちゃんと楽しめます。

話しを戻して、蒸溜所祭りの記念ボトルウイスキー。
田中さんはこう語ります。
「蒸溜所祭りの記念ボトルとして何か相応しいコンセプトがないかな?と考えたときに、南さつまの麦を使い始めて3年を迎えた原酒がようやく誕生しました。ある意味挑戦でもあった地産ウイスキーの製造。地元である南さつまに感謝し、それを広くお客さまにも知ってもらいたいという願いを込めて商品化されました。」
まさに、本坊酒造の創業の精神「地域に根ざす」が受け継がれているなあと感じました。(自身が試飲できなかったのが悔しすぎる。)
この後にも、ブレンダーさんの話やジャパニーズジン和美人の話題に花が咲きます。

こちらの和美人、香りがしっかり「The Forest」!!何を言ってるんだ、と思われそうですがフレーバーが森なんです。(同じことを2回言ってるだけですみません..)
屋久杉や津貫で採取されたヒノキの葉をはじめ鹿児島の多様な自然環境で育まれるボタニカルを取り入れたジャパニーズ・ジン。森にいるような爽快感のある香りと味に仕上げられているそうです。
話しを聞けば聞くほどドライバーで来たことを後悔しましたが、寶常はショップも併設されており蒸溜所限定の商品もあるとのことで、和美人は購入して自宅で楽しむことにしました。


津貫テロワール
マルス津貫蒸溜所での工場見学は、単にウイスキーの製造工程を知るだけでなく、南薩摩の豊かな自然、本坊酒造さんの歴史と伝統、そしてウイスキー造りに携わる人々の情熱に触れることができる(そしてそれを試飲できる)、良い体験となりました。
清らかな水、温暖な気候、そして脈々と受け継がれる酒造りの技。それらが一体となり、唯一無二の個性を生み出しています。
蒸溜所、本坊家旧邸「寶常(ほうじょう)」の美しい佇まい、石蔵樽貯蔵庫に漂う芳醇な香り。そのすべてが、訪れる人々を魅了し、ウイスキーの奥深き世界へと誘います。これからもこの南さつまの地で、どんな素晴らしいウイスキーが生まれていくのか、今から期待に胸が膨らみますね。
お酒が好きな方も、ものづくりの現場や歴史に触れるのが好き・その土地ならではの文化や背景を知りたいという方は、ぜひマルス津貫蒸溜所に足を運んでみてください◎
マルス津貫蒸溜所 見学予約方法
| 所在地 | 〒899-3611 鹿児島県南さつま市加世田津貫6594 |
| TEL | 0993-55-2121 |
| 営業時間 | 9:00~16:00 |
| 休館日 | 12/30~1/3 ※臨時休業あり |
| 入館 | 無料(試飲は全て有料) |
| 売店 | 有り(寶常 Cafe Bar&Shop) |
| 見学時間 | 蒸溜所(自由見学):約30分 寶常(有料試飲や売店):約15分 |
| 駐車場 | 無料(普通22台/バス2台) |
蒸溜所の見学は、ネットのご予約カレンダーから。
https://www.hombo.co.jp/visiting/tsunuki/reserve-tsunuki/
次回 灰持酒(あくもちざけ)について
実は、マルス津貫蒸溜所では期間限定で地酒 灰持酒(あくもちざけ)も製造をしています。
大人の自由研究シリーズ【薩摩の清酒→地酒灰持酒(次回!)】もお楽しみに!
取材協力
specialthanks
本坊酒造株式会社
課長 今釜義博さま
本坊家旧邸 寶常
支配人 田中教文さま

