2025年9月12日(金)奄美川商ホールで行われたモデナ・パヴァロッティ歌劇場フィルハーモニーの演奏会。
海外のプロオーケストラが奄美に来るのはこれが初めて!
モデナ・パヴァロッティ歌劇場フィルハーモニーとは

世界的に有名なテノール歌手パヴァロッティの生誕の地イタリア・モデナで結成されたオーケストラ楽団です。
指揮はイタリアオペラのエキスパートでもある日本人の吉田裕史さんが務め、同楽団の音楽監督も兼任しています。
奄美公演の経緯
大阪万博イタリア館で9/7〜9/14に開催された「イタリアン・ウィーク」に同楽団が招聘され演奏を行いました。その後大阪と奄美で「イタリアン・ウィーク」の万博外オフィシャルイベントとしてツアーが組まれることとなりました。
通常海外プロオーケストラの演奏会は都市部で行われる事が多いのですが、今回の離島開催は新たな可能性を見出すものとなりました。事実、奄美大島に海外のプロオーケストラが来るのは初めてです。
指揮者の吉田さんが「奄美には立派なホールがあると知って…」と壇上で仰っていた通り、会場となった奄美川商ホールは音響設備を整えた1438席を有する地方にしては立派なホールです。
ただ、ホールが良いというだけでオーケストラ招致は叶いません。
共催である奄美市に加え、特別協賛のPeach Aviation 株式会社などの力があってようやく開催できたものと思います。
奄美市はこの公演に合わせてクラウドファンディングも行っており(現在は達成済)、学生の無料招待枠を作り文化芸術に触れる機会の少ない奄美の子供たちに世界水準の音楽に触れてほしいという想いを込めています。
同じくPeachも「愛あるフライトを、すべてのひとに。」というビジョンを掲げており、吉田さんの「音楽を通して人々に感動を届けたい」という想いと合致したそうです。
様々な事が上手く嚙み合って奄美公演の実現に繋がっていたのですね。
それを踏まえたうえで今回の奄美公演の破格の価格設定を見てみると機会を均等にという想いを存分に感じられます。

ちなみに、奄美公演のチケット予約サイトには、”台風や悪天候による来島困難時には中止となる可能性があります”という一文が加えられています。
そもそも難易度の高い離島開催が企画され無事に成功を収めたことにとても嬉しく思います。
イタリアの風に包まれた演奏会
とにかく迫力がありました!圧巻でした!
一人一人の演奏力はもちろんのこと、大勢いるはずの弦楽器は一糸乱れずひとつの音に聞こえてきます。
大きな音はまるで地響きのような迫力があり、小さな音はより繊細で美しい。
それらが適切に混ざりあってとても洗練されていました。
音が大きな波のようにうねり意志をもって表情を変えていく感じです。
これが世界レベルの音楽なんだと身をもって実感しました。
演目はイタリアの名曲たち

”イタリアの風に包まれるスペシャル・ナイト!”の文字通り、演目はイタリアに関係した名曲達が選ばれていました。
どこかで一度は聞いた事のあるメロディばかりで、特に”運動会の曲”でおなじみの「ウィリアム・テル」序曲は良く知っているだけに、その生で聴く迫力にとても感動しました。
また、吉田さんが曲が始まる前に曲の特徴や見どころを解説してくれたので、あまり詳しくない人でも演奏を十二分に楽しむことができたように思います。

吉田さんはかなりお茶目な人でジョークやニヤリと笑う仕草がとても印象的でした。
チンバッソという初めて見る楽器が!

“WANZ Instrument 2024-09 IMG 7812 cimbasso” by Jonathanischoice is licensed under CC BY 4.0.
ヴェルディの「運命の力」序曲でチンバッソという楽器が登場しました。
調べてみるとヴェルディの曲でよく使用されるそうで、低音域のトロンボーンという感じです。パワフルでハリのある重低音。
自分が知らない楽器を知れるのも演奏会の醍醐味ですね。
全ての演目後はスタンディングオベーション!
アンコールはシチリアの夕陽を思わせる美しい旋律の「カヴァレリア・ルスティカーナ」と運動会の曲「ウィリアム・テル」をもう一度聞くことができました。
吉田さんの手拍子に合わせて拍手喝采!
盛り上がりも最高潮で、ハト(指笛)も沢山鳴り響いていたのは奄美の観客の感動や感謝の現れです。
今回の公演は貴重で心に残るもので、帰り道は皆「すごかった」「圧巻だった」と言い合っていました。
離島開催ができたことを心から感謝するとともに、また同じ機会が得られることを願っています。
| 吉田裕史さん公式サイト | https://www.hirofumiyoshida.com/ |

