奄美大島は徳之島、沖縄島北部及び西表島と共に2021年7月に世界自然遺産に登録されました。
アマミノクロウサギのような希少種を始めとした多様な野生生物の生息地となっていることが評価された結果です。
さて、そんな奄美の野生生物ですが、夜、車通りが少なくなった路上に現れることがあります。
運が良ければ眼の前で姿を見れる、夜間の野生動物観察について今回はご紹介します。
クロウサギが見れる三太郎線
奄美大島には夜間自然観察ができるエリアがあります。
奄美市住用町にある「三太郎線」。
昔は林業を支える道路として使用され、現在では地元住民の生活道路だけでなく気軽に自然観察ができる場所として親しまれています。

出典:環境省/奄美野生生物保護センターHP(https://kyushu.env.go.jp/okinawa/awcc/tourism-management-night-rules.html)
アマミノクロウサギやケナガネズミ、ハブ、シギ、カエルなど奄美大島周辺にしか生息しない珍しい生き物を見ることができます。
ただ気軽に野生生物を見ることができる故に交通量が増加し、生き物の交通事故や生活環境への配慮、利用者間のトラブルなどの理由で、この道路の夜間通行は2021年10月より予約制となっています。
三太郎線はUターンはせず通り抜けとなります。
予約時に東側入口か西側入口かを選び、予約時間の前後5分以内に入場する形です。
夜間自然観察のルール
ここで夜間観察の基本的なルールをご紹介します。
・時速10km以下で生き物に気をつけて走行
・動物から離れて、静かに観察する
・生き物を探すライトは車一台につき一本
・前の車に追いついたら一旦待機し、合図(左ウインカー)が出るまで無理に追い抜かない
・十分観察できた場合は後続の車に先頭をゆずる(左ウインカーで合図)
・対向車や前の車に追いついた時はハイビームをやめる
・すれ違いは上り優先通行とし、待機車(下り)は消灯
・ペットを連れて行かない
いざ三太郎線へ
今回は東側入口より22:30の予約で入りました。

天気はくもり、時々小雨、時々雲の隙間から月が見えるというようなやや不安定な空模様。

目を凝らしながら進んでいくと早速クロウサギが2匹いました!


口をもぐもぐしていたので何か食べていたんでしょうか。
1分くらいしたら草むらへ消えていきました。
その後も2匹単位でクロウサギが見れ、カーブに差し掛かったところで道路の真ん中に座るクロウサギを発見。

しばらく観察しても動かないのでそっと車から降りて近づいてみます。

動物からは2m以上離れて観察することとルールにあったので、近づけるギリギリのところからズームで撮った写真がこちら。(消音で撮っています)

後ろに動物のフンがいっぱい落ちていたのでトイレ中だったんでしょうか・・・。
結局5分くらい動かなかったのでめちゃくちゃ観察しました。
アマミノクロウサギは一般的なウサギと違って耳が短くて体毛が黒いのが特徴です。
そして大人ウサギはもう少し大きい気がするので、これはまだ子供かもしれません。
しばらくするとぴょんぴょん跳ねて森の中へ消えていきました。
その後アマミヤマシギに遭遇。


地面が生活領域なのであんまり飛ばない鳥です。
この日も道路を歩いていました。
およそ10kmの道を観察しながら1時間半くらいで通り抜けました。
今回見れたのは、アマミノクロウサギ13匹、シギ3匹、ネズミ2匹、カエル2匹でした。
暖かくなってくるとハブなどのヘビもよく見られます。
ヘビの時期は車から降りる際には注意してください!木の上にいることもあるようで・・・。
夜間の生物観察をもっと楽しむために

三太郎線の道路は走行に注意が必要です。
道路の陥没、狭い道幅、土砂崩れ、枝や石が道路上に落ちている、木の枝が道路側にせり出している、そんな箇所があります。
夜間観察に不慣れだったり運転に不安がある場合はエコツアーガイドを有効活用してください。↓
経験豊富なガイドさんは心強いです。
▶エコツアーガイド一覧/奄美大島エコツアーガイド連絡協議会HP
個人で三太郎峠の夜間観察を予約したい場合はこちらのページをご覧下さい。↓
ルールや予約はこちらから
▶三太郎線周辺の夜間利用ルールと事前予約のお願い/奄美野生生物保護センター/環境省
実際に間近で生き物を見ることができるのが夜間観察の魅力です。
特にアマミノクロウサギが元気にぴょんぴょん跳ねている姿は最高です。
ぜひ楽しんでみてくださいね。

