8月8日、鹿児島県本土に2度の線状降水帯が発生し、1時間に100ミリを超える猛烈な雨が観測されました。霧島市では、8月の平年ひと月分の2倍にあたる雨が、わずか1日で降ったといいます。霧島市や姶良市を中心に土砂崩れや浸水被害が相次ぎ、今もその爪痕が色濃く残っています。
こうした中、発災当日にいち早く立ち上がったのが、「霧島の未来を守る会災害復興支援チーム」です。現場確認を行ったのち、すぐに活動を開始し、現在は第一弾の復興活動として、被災家屋の泥出しや家財搬出・洗浄、さらには物資の提供・配布など、生活再建に向けた支援に取り組んでいます。
今回は、「霧島の未来を守る会災害復興支援チーム」の方に、その取り組みや思いについてお話を伺いました。
被災翌日から生活復興支援を開始
「霧島の未来を守る会災害復興支援チーム」の呼びかけ人である今吉直樹さんは、8月8日の早朝5時ころに、いつもと違う町の状況に気づきました。状況確認をしようと車を走らせましたが、道路が陥没したりと車が通れる状態ではありません。
SNSで刻一刻と伝えられる被害状況を目にし、「これは、どうにかしないといけない」と強く感じたそうです。今吉さんは、「自分にできることから始めよう」と、重機を持っている人、情報発信が得意な人など、それぞれの得意分野を持つ知り合いたちに声をかけることから始めました。霧島在住の有志を中心に、災害復興を目的とする「霧島の未来を守る会災害復興支援チーム」を立ち上げました。実は、今吉さんは行政に勤めていた経験があり、このように協力してくれる人へ働きかけることができたのです。


被災翌日からは、断水が続いているエリアへの飲料水の配布や浸水被害に遭った家屋の泥出し、家財の搬出・洗浄など、生活復興支援を開始しました。SNSでの呼びかけに応じて集まった、延べ300名以上のボランティアの方々と協力し、現地の聞き取りをもとに復旧作業も積極的に行っていました。現在は、霧島市ボランティアセンターと連携して、支援活動を行っています。
ボランティア活動に参加し行った土砂の撤去作業

8月16日、私も「霧島の未来を守る会災害復興支援チーム」を通してボランティア活動に参加しました。参加者には一人ひとり、黄色のポロシャツが手渡されます。黄色は「希望」の色。被災された方々が一日も早く日常を取り戻せるように──そんな願いが、この色に込められています。
ボランティアの内容は日によって異なります。私が参加した日は、災害支援の専門家の方が来られており、床上浸水の被害を受けた一軒家へ同行しました。

浸水した家屋は、しっかりと水を抜き、できるだけ早く乾燥させることが重要です。床や壁の内部に水分が残ると、劣化やカビの原因になるからです。ただ乾かせばよいのではなく、正しい方法で乾燥させなければなりません。たとえば、濡れた家財道具を置くために、ビニールシートを使いがちですが、ビニールシートを敷くことで、乾燥の妨げになる可能性があります。
また、浸水状況によっては、壁や床の張り替えが必要になる場合があります。修理やリフォームが必要な部分と、そうでない部分の判断は専門家でなければ難しく、直接アドバイスをいただける機会はとても貴重だと感じました。


午後からは、家の横に流れ込んだ土砂の撤去作業に参加しました。お住まいの方は90代で、ご自身だけでは対応が難しい状況でした。家屋の泥出しや家財の運び出しといった重労働には、多くの人手が必要です。だからこそ、ボランティアの存在が欠かせないと感じました。
災害ボランティアにご興味がある方は、「霧島市災害ボランティアセンター」へお問い合わせください。
https://kirisha.jp/volunteer-support/disaster-volunteer
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今後「霧島の未来を守る会 災害復興支援チーム」は、行政予算では補うことのできない、個人の財産への支援を中心に活動を続けていくそうです。行政には行政の役割があり、民間団体には民間団体だからこそ果たせる役割があります。お互いが協力し合うことで、復興は一歩ずつ前に進んでいくのだと感じました。
また、同チームでは活動を継続していくために、クラウドファンディングを通じて支援を呼びかけています。ご支援いただいた資金は、作業に必要な資材や消耗品の購入、事務局の運営費などに活用されるとのことです。

