海外からの観光客への制限が少なくなり、県外ではインバウンド需要をだいぶ取り戻している地域も出てきました。
 鹿児島においては「クルーズ船が乗り入れる様になるまで回復は難しいのかな?」と個人的には考えていたのですが、ぼつぼつと需要を回復させている県内地域が出てきている様です。

 今回は、観光客の需要に回復の兆しが表れた事からコロナ禍以前の人気企画を復活させるという事で、霧島神宮前にあります霧島市観光案内所の西沢直樹さんにお話しを伺ってきました。

地元の協力で始まったおもてなしサービス

 このサービスが始まったのは2015年の事。観光課長(当時)の祖母のタンスに多くの着物があり、観光課長のほうから地元の方(着楽会の方)に何かできないか相談をしたというのがきっかけでした。
 当時の鹿児島県では、観光客向けに行う着物の着付けサービスは霧島市と他数か所だった事もあり、地元の風情と非常にマッチしたこのサービスは多くのお客様を呼び込む呼び水になりました。
 その後県内でもインバウンドの波が加速すると海外からのお客様のご利用が増え、コロナ禍前の2018年では1年で822名のご利用があったそうです。
 特に香港からのお客様がご自身のFacebookでこのサービスの紹介をして下さった事がバズり、海外からのお客様の約9割は香港からのお客様が占める様になりました。

 始めは電話での受付を行っていたのですが、観光案内所の電話が1日中話し中で不通になる事が多くなり、現在ではメールでの申し込みを皆さんにお願いしている状況です。(メール操作ができない等の理由があれば電話での受付も行っています。)

サプライズプレゼントとしての和服体験

 和服を着て霧島神宮を参拝する事で『和』の文化を満喫する体験プログラムとして主に20代から30代女性に人気のある企画ですが、記念撮影のオプションがある事から両親や祖父母へのサプライズプレゼントとしての需要もあるとの事。
 理由の一例としては、結婚式を挙げていなかった両親に対して、ここで人生に残る記念撮影をしてもらおうとご予約される方がいらっしゃる様です。

取材後記:『国宝』霧島神宮という最良環境の活用に上手さが光る霧島市観光協会

 2022年。霧島神宮の本殿・幣殿・拝殿が国宝に選ばれた事により更なる観光客増加を見込める地域になりました。
 霧島神宮の影響で『和』の空間として地域づくりができている環境は文化体験の場として最良の環境になっています。
 こういった土壌を霧島市観光案内所は上手く活用できている様子が、今回の取材から感じ取る事ができました。

 今回は和服の着付けサービスに情報を絞ったのですが、ジオパーク関連やポップカルチャー系へのアプローチもしっかり行っており、それぞれの分野でファンを引き込んでいます。

 SNS等、webを使った情報発信やホームページに英語版を作るといった見込み客へのフォローが全国レベルでの基本をしっかり押さえられており、好印象を受けました。

 鹿児島県内の観光地においては地元の魅力が何なのか?どういったものに引き寄せられて観光客が来ているのか?を解っておらずに企画を進め、場所によっては逆に逃がしてしまっている状況が見受けられます。
 偏ったアプローチから見込み客に情報が届かず、チャンスを逃がしている地域もありますね。

 今、観光地として苦戦していると感じている様でしたら、一度視察に行く事をオススメしたい観光地です。

『和服で参拝、ぶらり霧島神宮』
 料金:お1人 6,000円(税込み)
 着付け会場:霧島自治公民館(案内所から徒歩5分)
 着付け師:きりしま着楽会
 当日の流れ:案内所で受付→着付け会場へ移動(徒歩5分)→着付け(約15分)→参拝・自由時間(2時間)→着付け会場へ戻り、着替え(10分)→終了。
 主催:公益社団法人 霧島市観光協会

参加者特典・オプション
 近隣の飲食店、お土産店で使用できる割引など特典サービス
 霧島神宮温泉郷の温泉施設で使用できる割引サービス
 記念撮影オプション 別途3,000円 (事前予約必要:松永写真館)

予約受付・お問い合わせ
 1回の最大受け入れ人数12名(ツアー等はご相談)
 霧島市観光案内所
 住所:鹿児島県霧島市霧島田口2459-6
 TEL:0995-57-1588
 Mail:info@burarikirishima.com (なるべくメールでお問い合わせ下さい)
 予約申込サイト:https://burarikirishima.com

投稿者プロフィール

清永秀樹
清永秀樹
クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)