漫画やアニメに代表されるポップカルチャーの世界では東京や大阪といった大都市圏に行かなければ満足な活動はできないとされてきました。
 現在ではネット環境の充実化により地方から全国へ向けて自身の活動を広げていこうとされる個人や団体が増えてきています。
 今回は鹿児島を拠点として全国へ向けて挑戦している2名の方をご紹介致します。

声優を目指すVtuber 『 桜馬トウカ 』 さん

 新しい表現の形として2D及び3Dキャラクターを使って動画制作やライブ活動をするバーチャルYouTuber。
 現在全国に16,000人を超える方がいらっしゃると言います。
 無論鹿児島にも何名かVtuberとして活動されていらっしゃる方々がいるのですが、今回非常に明確な目的を持って活動されている方として『桜馬トウカ(さくらま とうか)』さんにお話を伺いました。

---桜馬トウカ(さくらま とうか)さんは何系Vtuber?
 「声優を目指すVtuber」と自己紹介しています。

---所属している MOZZEPLUS について教えて下さい。
 始めは個人でVtuberを始めていたのですが、声を気に入った父上(補足:Vtuber界 で活動に使用する基本となる絵を描いて下さる方の事を『父』及び『母』と言います)にMOZZEPLUSという活動をサポートしてくれるチームを作っていただきました。
 まだ3人での構成ですが、今後も基本鹿児島在住メンバーで追加拡大予定のチームになります。

---鹿児島在住で目指す理由を教えて下さい。
 東京の養成所に行ってはいたのですが諸事情で鹿児島に帰らなくてはいけない事になりVtuberとしてデビュー後チームが作られたので所属しました。
 全国に向けて鹿児島のアピールができればと考え活動しています。
 流石に声優としての仕事はできていませんが、Vtuberとしてボイス販売やシチュエーションボイス(声劇)の動画投稿をしているところです。
 Vtuberをしながら声優としての演技力を高めていければと日々勉強しています。

---桜馬トウカさんの強みは何でしょう?
 ヤンデレ風のシチュエーションボイスをよく上げているので、これは負けないかなと。

---MOZZEPLUSメンバーの動きについて教えて下さい。
 父上(補足:一般的に言う実の父ではなく桜馬トウカさんのメインビジュアルを描いた方)は不定期でVtuber活動をしており、MOZZEPLUS公式YouTubeチャンネルでラジオ配信を毎月第1第3金曜日にやっています。
 新しいメンバーはまだ準備中。
 今後メンバーを増やしていければと考えているところです。

---チームとして大きくなる為の活動やチームの強みについてお聞かせ下さい。
 まだ始めたばかりなので満足に動けてはいないのですが、鹿児島のPRや鹿児島の企業様と一緒にお仕事できればと考えています。
 チームとしては連絡を密にしながら、私自身様々なアドバイス等のサポートをいただいているところです。

<桜馬トウカ>
自己紹介:https://www.youtube.com/watch?v=Vd1F8kmmwoA
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCEWqnlRcdJAB9dXTAb_NTQw
Twitter:@SakumaTouka
MOZZEPLUS HP:https://mozzeplus.omoshiteca.com/

地元にトキワ荘を作りたい『 絵文塾/牧瀬りせ 』さん

 鹿児島市松陽台町で『絵文塾』(マンガ・ラノベ塾)として漫画教室を開く「牧野りせ」さん。
 漫画の指導が意外な地域福祉として皆さんに喜ばれている様です。

---『絵文塾』について簡単な説明をお願いします。
 10年ぐらい前から漫画で地域を盛り上げたいという希望があって現在城西高校で漫画を教えているのですが、後継者を育てたいというのとセラピー的な漫画の活用という事で塾を開きました。

---セラピー的な漫画の活用とは?
 科学的な根拠は無いのですが例を挙げると、今鹿児島でもちょっと増えつつあるのがひきこもりとか登校拒否の子が割と低学年まで増えてきているんですね。前はどちらかというと高校生ぐらいが多かったんですけど、今では小学生でも登校拒否が1学年に1人2人いるような状況で、親御さんはどうにかして「とにかく学校じゃなくてもいいから外に興味を持ってほしい」「家から出る切っ掛けが欲しい」と考えています。
 その時にお子さんが絵画的な事じゃなくてイラストを描くのが好きになった時に対応できるところが『絵文塾』になります。
 大勢の中で沢山の意見を合わせて上手く喋るのは上手くできないけど、マンツーマンで大人と喋るのなら大丈夫という子もいます。絵を描きながらちょっとリラックスして家族以外の誰かと喋っていく。絵を描いて会話する事でちょっとずつ人の多いところに慣れていくという意味でのセラピーですね。

---コニュニケーションツールとして漫画を使っているという感じですね。
 ひきこもりからの脱却が1つの目標になっているので同年代の子と少人数で会話をするっていうところまでは持っていきたいですね。
 マンツーマンだけじゃなくて曜日によっては「別の曜日で休んでたから振り替えで今日は2人だよ」とか「今日から2人だけど大丈夫?」とか「3人だよ」とかちょっとずつ人数を増やしたりしてコミュニケーションの輪を作っています。

---将来の展望について教えて下さい。
 今のところ漫画教室なんですけど、最終的には通ってた子達のゴール先を作ってあげたいなと思っていて、例えば個展を開くだったり、できるかどうかは別として例えば鹿児島の漫画雑誌を作るとか。
 自分の経歴的に小学生の時から絵を描いていて、世代的に言うと絵を描いていると後ろ指を指される世代だったんですよ。「漫画読むとバカになる」って言われた世代ありましよね。だったので本当に鹿児島ってそういうカルチャーに関しては厳しいところがあって、成人する時に自分が進路を選ぶ上で「なんで東京でできる事が鹿児島でできないんだ」とずっと思ってましたね。
 「東京都でできる事はいつか鹿児島でもできるんじゃないか?」その時は若かったから世の中を知らないというのももちろんあったのですが…。
 でもこれだけ世の中がグローバル化している中で「日本の片田舎でこの場所だからこれができない」はもう通用しないんじゃないかなって思っています。
 漫画とかイラストを描く人も一つの就職先であったり、自分がこれをやりたいってなった時に「だから東京に行こう」じゃなくて、「だから鹿児島に残ろう」って思える場所を作りたい。
 それがウェブ上なのか?紙の上なのか?っていうのをまだ模索しているところなので分からないんですけど、自分ができなくて悔しかった事を次の世代の子達には叶えてあげたいというのもあって漫画教室をしている理由にもなっています。
 これは夢物語なんですが、ゴールとしては自分が育てた子たちが40歳50歳とかになった時に、例えばA-Studioとかアナザースカイといったテレビ番組で「あの時に私は子供の時に漫画を教えてくれる変なおばちゃんがいたんですよ」っていうか。その子がそういう番組に出た時に私が80ぐらいで出演してフェッフェッフェッ…としながら「まだ生きていた」ジャーン!て出てくる様な人になれたら良いなと思っています。
 あの手塚治虫さん達がいた時代の様な…あの時のトキワ荘みたいな…ああいうコミュニティーを作りたいな…というのが一番の希望ですかね…。

<絵文塾(マンガ・ラノベ塾)>
住所:鹿児島県鹿児島市松陽台町41番地25-101
TEL:080-5249-0028
Mail:emonjuku@gmail.com
Twitter:@emonjuku
HP:https://emonjuku.wordpress.com/

投稿者プロフィール

清永秀樹
清永秀樹
クリエイティブパフォーマンスBAN/代表
さつま忍者研究会/代表
H26~H29 KADOKAWA Walker plus 鹿児島県地域編集長(最終役職)