近年、酷く傷ついた時に「心が折れる」と、表現する人が増えてきました。思い通りにならない現実に、精もこんも尽き果てました…そんなとこでしょうか❓

仕事柄、多くの人と接する中で、「心が折れた話題」に直面することがある。会社内での人間関係の拗れ、進路について先が見えないとか、失恋。などなど…言ってみればよくある話しなのですが、渦中の人は一大事。

そんな方たちに遭遇すると、時として提案している場所がある。それは鹿屋市の鹿屋航空基地史料館。命を掛けて未来を繋いでくれた多くの若者たちの遺書があるところだ。

心が折れた人へ、とりあえず自分の悩みは一旦置いて、史料館に向かって欲しいと切望すると、その足で鹿屋へクルマを走らせてくれる人もいる。

私が生まれ育った土地は、戦時中、多くの特攻隊員が飛び立った特攻基地の街鹿屋市。鹿児島で特攻基地と言えば、知覧が有名ですが知覧は陸軍、鹿屋は海軍。飛び立った特攻隊員の数からいくと実は鹿屋の方が多かったのだそう…。当時、衛生兵だったお爺ちゃんから教えて貰った戦地での数々の話しや、鹿屋で育ったという環境が、今こうして私のペンを動かしている。

鹿屋航空基地史料館https://www.mod.go.jp/msdf/kanoya/toukatu/HPzairyou/1-8siryoukann/1-8siryoukann.html

史料館へ一歩足を踏み入れると、なんとも言えない神聖な空気に包まれる感覚(あくまでも個人的な感想)まるで、当時の特攻隊員に会いに来たかの様な…この街で生まれ育ち、いつしか土地の歴史ごと肌や思考に刷り込まれていることの現れなのか。。懐かしくて暖かい気持ちになってしまう。

展示されている沢山の遺品や達筆な文字で残された遺書を目にすると、涙と共に、マグマのように滾る感情が噴き出してくる。「力強く生きなくてはこの方達に失礼だ」そう、決意表明に近い気持ちが背中を押し、史料館を後にする。

心が折れた人の、皆が皆ここに来ることで「まだまだやれる‼️」と、奮起するかはわかりませんが、壁にぶち当たった時、心にゆとりがなくなった時、自分を立て直すすべ、それぞれにあったなら。。と思う

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さて、今回は、そんな特攻隊員にまつわる秘話も含めて、特攻隊員が飛立つ最後に食べていたと言われるお菓子に注目してみました。

鹿屋市本町には、特攻隊員と深く関わりのあった菓子店があります。全国でも度々取り上げられている老舗菓子店の御菓子処富久屋。戦時中、旧海軍鹿屋航空基地にお菓子やパンを納めていたいわゆる軍御用達として、長きに渡り、今日もなお暖簾を守り続けています。

天保年間創業の富久屋さん

左‥ 昭和30年代当時の菓子職人さん達
真ん中‥ 江戸時代末期、お殿様に献上の時に使用していた菓子を乗せていた
三宝。
右‥ 富久屋には歴史を感じさせる調度品がそこかしこ…

当時の鹿屋航空基地は、海軍神風特攻隊の主要な基地でした。毎日の様に出撃は行われ、沖縄方面に向かう暫しの間、海軍の上層部は出撃する隊員の為にサイダーや海苔巻きなど飛行機に持ち込み食材を配給していたそうです。戦時中、主だった食糧は配給物で、貴重な砂糖も配給品だったそう…
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毎年4月、鹿屋市では戦没者追悼式が行なわれています。ある時、灯籠流しを企画している富久屋の北村馨さんが、当時軍に納めていたお菓子を再現して参列されるご遺族の方に食べて貰えたら…
と一念発起します。当時の関係者や菓子職人の元へ通い、情報を集めました。

聞き取りの中から製作が始まり、海軍タルト復刻版は完成しました。


実は、軍からの要請には幾つかのリクエストがありました。貴重な配給品の材料内で作れる事、狭い操縦席で操縦桿を握りながらでも食べられること。などなど…

限られた時間で試行錯誤を繰り返し、菓子を包んだパラフィン紙の上下をきゅきゅと摘んだ形にした。機内でも片手で開封出来る工夫を凝らしたものでした。

復刻版海軍タルトの販売を開始したところ、戦争のイメージが強いのが裏目に出てしまい、販売には向かないことを慰霊祭や献茶会を通じてご縁があった、当時、海軍特攻隊員でもあった裏千家元家元千玄室(100)さんに相談したところ、「古今タルト」ともう一つの名前を命名して下さったそうです。

タルト名が柔らかい印象になったことで、有名百貨店でも、取り扱いやすくなったそうで、話題の菓子として引き合いも増えました。特攻隊員の記憶を脈々と言い伝える意味で「海軍タルト」と「古今タルト」の二本立てで覚えて頂きたい。

靖國神社 裏千家鵬雲齋千元室大宗匠勤仕献茶会にて

最後に、このお写真は遺族の方から頂いたもの。まさに出撃前、こうやってタルトを受取っていた様子が伺えます。白黒だった写真を近年、カラーにしてみたところ、一つ明らかになったことがあります。それは、隊員さんが抱えている海軍タルトの風呂敷が綺麗な色であったということ。しかも、海軍のシンボル「桜」をイメージさせる優しい桜色だったということ。

誰しも心が折れそうになる事もありますが、
そんな時は国を想い、自らの身を散華された彼ら達の事を想い馳せて召し上がってみてははいかがでしょうか?

富久屋HP

https://fukuya.ocnk.net/

海軍タルト
有限会社富久屋
鹿屋航空基地資料館鹿屋観光物産総合センター内


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