竹というと、私の脳裏に浮かぶのが竹取物語のこのフレーズ

【野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり】

竹といったら、古き昔より日本建築から市民の生活用具まで、多種多様に使われ、欠かせない素材。独自の性質を持った変貌自在の無限の可能性を持つ竹。

その竹を使って阿久根の旧牛之濱児童館で、モノつくりをしていロックなグループがいる。60代から80代までの素敵な方々が集まって個性的な竹細工を作っている。一つ一つ丁寧に作られている作品が並んでいるのだが、こちら実は竹を取りに行くことからスタートする。

いくつかの竹山に入り、長さ、固さ、太さ等、形状を確認し、お目当ての竹が見つかるとロープでくくり、切れ目をいれて皆で引っ張る。’’倒れるぞー””のこえの合図で一斉にロープを放し、竹から離れる。それを、1回に10本から20本確保するために繰り返すのだ。体験して思うことは思ったより重労働なのだが、彼らはモノともせず手際良く進めていく。その姿はまるで勇者である。

行程は始まったばかり。そこから、小竹を切り、1本の雄々しい竹になるように整えていく。それから、旧児童館に竹を運んで竹を煮る作業に移る。彼らが作ったドラム缶を改造した竹煮込み機で、竹をどんどん煮込んでいく。火を絶やさずに効率良く。これは竹の油分を取り除くために行われる。そして、竹がしっかり乾くまでここから1か月間、天日干しをするのである。これまででも、ほんとに大変な作業なのだが、まだまだ行程は続くのだ。

そして、天日干しした竹が、ようやく竹ひごの1つになっていくのだが、作る商品に合わせて竹ひごを作っていくのだと言う。3㎜の時もあれば、5㎜の時もあり、必要な分だけ竹を切り、洗って、竹を割り、そこから竹ひごを一つ一つ丁寧に均等に作っていく。ここがなんといっても職人の見せどころでもある。ここで大切なことは、竹のうら(つまり竹の上側の部分)から切っていくということ。その理由が、根本は固くて割れにくいが、うらは鉈を入れたときに割れやすいこと、もう一つは、うらと根元を比べたときにうらから切っていくと、均等にするときに調整しやすいということである。そして、うらがなんといっても弾力性が高いということだ。

ついに、竹ひごの最終工程の’幅取り’といってより均等にひごの厚みを整えていく作業に入り、面取りをしてようやく商品作りに取りかかれる何とも奥深い竹細工。やっと、ここから竹を編んで作品が出来上がっていく。その時間と労力を追加するだけの温かさと思いがあふれ出ているのは一目瞭然である。

そして、何より同好会の方々が、それを楽しんでされていること、休憩中ののどかな会話や笑いが森の中で木霊する空間もまた心地良い時間である。

またこの同好会のメンバー、いろんな体験も楽しんでいる。最近は、皆さんでそばを植えて花が咲いた後に収穫、石臼ですりつぶして、そば打ち体験するなど、面白いことを自発的に実行するとても熱い方達である。是非、気軽に児童館まで見学に行かれて欲しい。

阿久根市竹細工同好会 

鹿児島県阿久根市大川鹿児島県阿久根市大川10607 旧牛之濱児童館

猿楽 勝一代表  090-7478-9757                              

投稿者プロフィール

津崎 信乃
津崎 信乃
福岡生まれ
小中高は山口で育つ
大人になってからは全国津々浦々
北は北海道、南は屋久島まで
海外の自然のなか(35か国)
学生時代は、バスケットボール三昧
北海道ばんえい競馬で厩務員
乗鞍岳山小屋で勤務
北海道旭川にて果樹園で働く
北欧を自転車で1周
屋久島でカヤックガイド、
ポンカン狩り
伊勢海老捕り
学童保育
アメリカアパラチアントレイルを歩く
インドにカレーの修行へ
国際交流をふまえて南米、中南米の旅へ
アウトドアブランド Mont-bell販売を経験
アウトドアブランド Colombia 管理職経験
現在、阿久根市地域おこし協力隊として、自然を活用した体験型コンテンツ開発と実施に取り組み中


すきなこと
焚火
コーヒーを豆から挽いて飲む
映画鑑賞
MUSICライブ
バスケットボール
アウトドア全般
世界の旅
潜り