鹿児島市喜入町にある浄土真宗本願寺派のお寺「善行寺」。
1628年萩36万石の大名毛利輝元とその夫人にして熱烈な真宗信者清光院妙貞尼が創建をされました。そして、1895年(明治28年)に現在の場所の喜入に移転。山口萩から数えると390年の歴史を持つお寺です。
今年の2月から、月に一回「朝ごはんとお掃除の会」が開催されています。朝の6時30分から、3人のプレゼンターとともに「過去」「現在」「未来」をテーマに、時間を過ごしていきます。
参加者のほとんどが、毎回参加をされるほど、満足度の高い朝時間。現代人にこそ、必要な時間なのかもしれません。その魅力に、ライターの上村が迫っていきます!
自発的なお掃除で得られる「心地よさ」
善行寺では、毎月一回、婦人会のかたがたがお寺のお掃除をしているそうです。婦人会は、有志の集まりだそうで、持ち回りでのお掃除というより、自発的にされているとのことでした。
不思議なもので、「やらなきゃいけない」という気持ちのお掃除と、「やりたい」という気持ちでのお掃除は、得られるものが異なります。
みなさんも、そういう経験をされたことがあるのではないでしょうか?
自発的にするお掃除は、自分自身を見つめる時間につながり、また、他の参加者のかたとのご縁がつながる場にもなります。同じ行為だけれど、心の持ち方で変わってくるんですよね。
開催されている会で、朝ごはんを作っている石塚智代さんも、お寺のお掃除を通して「心地よさ」を感じられたかたの一人です。
特に、外でのお掃除は、季節の変化を感じることができると仰っていました。例えば、3月は落ち葉が多いので、掃き掃除がメイン。でも、5月は雑草が生いしげってくるので、草とりがメイン。
慌ただしい日常の中では、気づくことのできない季節の変化。そういったことに目を向けられることは、心のゆとりにもつながるのかもしれませんね。
「そういった体験を、一人でも多くのかたにしていただきたい」という思いがあり、坊守である亀井愛子さんと一緒に、「朝ごはんとお掃除の会」をはじめることに決めたそうです。
先人の知恵を伝えることで、未来へとつなげていく
坊守の亀井愛子さん(真ん中)、月の暦と二十四節気・「源」とつながる「暮らし」を主宰されます石塚 智代さん(左)、喜入中名にてスペシャリティ珈琲を提供くださる06 coffeeの樋高さん(右)の3人が、この会の主催者。
会の流れを、写真とともにご紹介しますね。
朝の6時30分にお寺に集合をし、会のスタート。
まずは、「塗香」を手にとり、自身につけることで身を清めます。お寺に行くと独特の香りがするかと思います。「塗香」をはじめとするお香の原料は「香木」です。「香木」とは、漢字のとおり「香りのする木」のことで、「白檀」、「沈香」、「伽羅」のことを指すみたいです。
香りで身を清めた後に、「お勤め」をします。配られたお経本を、額に押し頂いてから、お経をあげます。お経本を開く前に額に押し頂くことは、お経本を大切に扱う行為のあらわれだそうです。一つ一つの作法を丁寧にしていくことで、心の豊さにつながっていきそうですよね。
お経は、悟りを開いたお釈迦さまの教えが詰まっています。口に出して唱えることで、心が落ち着く効果があると言われています。実際に、わたしも経験をし、清々しい気持ちになることが出来ました。お経をあげるという経験は、なかなかできないものなので、良い経験になりました。
お経をあげた後は、愛子さんが仏さまのお話をしてくださいます。お伝えした先人の知恵(過去)や、この会を通してつながった人とのご縁(現在)により、より良い未来をつくっていって欲しい。そんな願いを込めながら、時間をつくっているそうです。
和食ならではの「走り」「旬」「名残り」の食材の愉しみ方
いよいよ、お掃除の時間です。お掃除場所は、そのときによって変わります。わたしが参加した5月は、お寺の外のお掃除でした。
役割は、自然と決まるんです。写真のように、みんなで協力をしながらきれいにしていきます。朝からお掃除をすることで、心もスッキリです!
お掃除が終わったら、お待ちかねの朝ごはんをいただく時間です。お膳に小鉢が3品置かれています。ごはんとお味噌汁は、自分でつぎに行きます。お櫃に入った、ごはん最高ですよね!
先ほど、小鉢が3品とお伝えしましたが、こちらもちゃんとした意味があるのです。石塚 智代さんは、時の流れを「食」を通して感じてほしいと、毎回献立を考えているそうです。鹿児島県産であり、旬の食材にこだわる。作物には、「名残り」「旬」「走り」があります。
5月の献立です。左の「じゃが芋と新玉ねぎの煮物」は名残り(過去)、真ん中の「唐竹の甘辛炒め」は旬(現在)、右の「生キクラゲとインゲンの白和え」は走り(未来)。お味噌汁の具材は、あえて毎回根菜にされているそうです。旬の食材の良さを体感してほしいという思いがあるそうです。
お膳の食事を食べ終わったころに、お野菜の天ぷらが出されます。こちらは、「今この瞬間を」という思いが込められています。
喜入は、スイートコーンの栽培が盛んです。この時期に出る「ヤングコーン」は、大人気だそうですよ! ヤングコーン、美味しいですもんね。
自分の好みを知り、今までとは違うコーヒーの楽しみ方へつなげる
美味しいお食事でお腹を満たしたあとは、贅沢なコーヒータイム。ただ、コーヒーを飲むのではなく、コーヒー豆や美味しいコーヒーの淹れ方を学ぶことができる時間なのです!
こちらの時間をつくってくださっているのは、鹿児島市喜入中名町の自家焙煎店「06 coffee」のオーナーである樋高さん。コーヒー豆にこだわっていて、「スペシリティコーヒー」をお取り扱いされています。現在、7種類お取り扱いしているそうですよ!
自分が飲みたいコーヒーを選び、ドリップコーヒーで、自分が持ってきたカップに淹れていくという流れです。
みなさんが持ってきたカップを、思わず写真に撮ってしまいました(笑)個性あふれるカップたち。さまざまなカタチがあって、見ているだけでも楽しいです。
コーヒー好きのかたが多く、ご自宅で淹れて飲んでいるかたもいらっしゃるほど。美味しいコーヒーを淹れるために、中にはきちんとタイマーで時間をはかるかたも(すごい)。手際よく、お湯を注がれていました。
お湯の温度と、お湯を注いで置く時間、そして回数によって味が変わるみたいです。コーヒーの世界は、奥が深いですねえ。お湯を注ぐだけでは、カップの下のほうが濃くなってしまうみたいです。
濃さを均等にするために、最後にスプーンで前後にかき混ぜるという一手間が大事(グルグルじゃなく、前後ですよ)。
こうやってプロの人から教えてもらうことで、今までの自分の中のコーヒー(過去)との違いを知る(現在)ことができますよね。コーヒーの新しい楽しみ方を知ることで、今後ご自宅でのコーヒーライフにつなげる(未来)ことができそうです。実際に、お家でのコーヒーの楽しみ方が変わったというかたもいらっしゃいましたよ!
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「お寺に人が来てほしい」という坊守の愛子さんの想い。その想いが伝わり、「お朝ごはんとお掃除の会」は、リピート率が高いのです!
参加者のみなさま、会が終わって帰られるときの表情が、とてもスッキリしています。それは、豊かな時間を過ごすことができたからだと思っています。
過去を後悔し、未来に不安を抱くのではなく、過去の経験に感謝をし、未来につなげていく。現代のわたし達に、必要な時間なのかもしれません。
3人のプレゼンターと一緒に、豊かな時間を過ごしてみませんか?
参加費は、3,000円。
募集定員に限りがございます。
「お朝ごはんとお掃除の会」が気になるかたは、善行寺のInstagramをご覧くださいね。
https://www.instagram.com/kiire.zengyoji
投稿者プロフィール
- ヨガインストラクター×ライター。どちらかというと身体が硬めのヨガインストラクターです。その人に合ったレッスン内容を心がけているので、老若男女問わずレッスンを受けていただいています。ヨガレッスンは、出張ヨガがメイン。趣味は、美味しいものを食べること。ライターとして鹿児島のいろいろなことをを発信していけたらと思います。
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