こんにちは。慶應義塾大学SFC研究所上席所員の折田です。
現在、福山高校の「福山みらい創業塾」プロジェクトに関わっています。
今日は鹿児島県で実践されている「教育改革」をご紹介します

コロナ禍で一気に広まった「オンライン授業」
なんとなく通信制高校の仕組みだと思っていませんか?

実は全日制高校でも、平成27年度から制度としてオンライン授業は可能になっていました。

その要件は、
1.全課程の修了要件である74単位のうち36単位までを上限とする。
2.授業を受ける側の生徒を40人以下とする。
3.受信側に教員免許を持つ教員がいること。
4.同時双方向型(オンデマンドは不可)であること。

となっています。

タブレットを使ったオンライン授業
オンライン上で自由に意見を交換

しかし、受信側に教員免許を持つ教員がいること。
これは、どの学校もハードルが高いですよね。
不登校の生徒が家で授業を受けることなど現実的には不可能です。

でも、見方を変えてみましょう。
不登校の生徒の「学校に行きたくない」を、
更に具体化すると「友人関係が上手くいかない」であったり、「静かな環境で勉強したい」という理由があったりします。

つまり、問題の本質は「学校に行きたくない」の中に存在する具体的な理由にあります。

では、学校の中に、具体的な理由を解決する場所を作ってしまえば良い。

そんな発想の下で生まれたのが、鹿児島県立福山高校の中にある「リカバリールーム」です。

鹿児島県立福山高校内にあるリカバリールーム

通常、全日制の学校に通学する生徒は、授業が実施されている場所(クラス)にいないと出席として認められません。

しかし、福山高校では、授業が実施されている場所(クラス)を離れてもリカバリールームでの学習が出席として認められるシステムが存在します。

方法としては、
1.先生から課題を受け取って、それを終わらせ確認を受ける。
2.オンラインで授業が実施されている場所の授業を受ける。

の2タイプが存在ます。

このリカバリールームには、常に教師が配置してあり双方向型のオンライン授業が受けられるようになっているのです。
更には、学校に常駐している支援員の先生や、定期的に来校するカウンセラーの先生に悩みを相談することも可能です。

面倒な手続きは無く、「友人関係で上手くいっていない」、「しばらく静かな環境で学習したい」などの悩みがある場合は、自由にリカバリールームを利用することができます。

住友商事 MIRAI LAB PALETTE 

将来は、こんな部屋を設置して、生徒が自由に好きな場所でオンラインで授業を受けることができたらいいなと思っています。

投稿者プロフィール

orita慶應義塾大学SFC研究所上席所員
慶應義塾大学SFC研究所で上席所員として研究者と一緒に未来の教育を研究しています。
同時に鹿児島県立福山高等学校で「福山みらい創業塾」というプロジェクトに関わっています。
このカゴシマガジンでは、主に「教育改革・地域魅力化・産官学連携」について書いていきます。